研究課題/領域番号 |
20K12009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小川 浩平 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10586027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遠隔操作システム / 知能ロボティクス / 対話エージェント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インターネットライブサービスにおけるアンドロイドロボットとの対話を通じた情報提供と、その効果を格段に向上させる技術と環境の創成である。これまでの研 究で、インターネットライブサービスにおいて、遠隔操作者により操作された遠隔操作アン ドロイドと視聴者との間の対話事例を自動的に収集し、その対話事例を用いてアンドロイド の自律対話システムを構成することで破綻のない視聴者と自律アンドロイドとの対話を実現 できることが明らかになりつつある。本研究課題では、これを拡張し、下記の2つの課題に取り組んでいる。 (1) 操作者の人格に依存しないアンドロイドの対話事例収集技術の構築 (2) 視聴者で構成される特定のコミュニティに特化した人格構成技術の確立と評価 本年度はこのうち(1)についての研究を推進した。具体的には、視聴者によるリアルタイム遠隔操作システムを開発し、インターネットライブサービス上において視聴者がブラウザ経由で容易に操作できるシステムを通じて、発話と身体動作を対話事例コーパスに蓄積するシステムの実装が完了した。また、操作対象を実物のアンドロイドだけではなく、オンスクリーンエージェントに拡張することで、システムの動作の検証を可能になるよう研究の範囲を拡張した。オンスクリーンエージェントを操作対象に加えることは、当初の研究予定にはなかったが、COVID-19の感染状況によって大学に来れない期間があり、研究に遅延が生じる恐れがあったため、アンドロイドを用いなくても研究を推進できるよう、研究内容の一部に加えた。そのため、本年度は課題2で掲げた実際の対話収集実験の開始には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題1である、(1)リアルタイム遠隔操作システム、及び、(2)対話事例コーパスの収集システム、の実装が完了していることから、提案書に記載した計画に従った進捗が得られていると考える。一方、COVID-19の影響から、大学に物理的に来ることが難しい期間があり、計画に挙げたアンドロイドロボットを用いることを前提としてしまうと、今後の進捗に問題が起きる可能性があった。そこで、本年度途中より、実物のアンドロイドに加えてCGで作成したオンスクリーンエージェントも捜査対象として加えることで、大学が閉鎖された場合においても研究が推進できるよう、開発計画に変更を加えた。 研究課題2は2年目から推進する予定であるが、課題1が終わり次第前倒しで実施すると計画していたが、前述のオンスクリーンエージェントへのシステムの拡張によって作業工数が増加した影響で、前倒しで課題2を実施することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題2である視聴者で構成されるコミュニティ人格構成技術の確立に向けたデータ収集実験を開始する準備がすでに整っているため、引き続き計画書どおりに研究を推進する。具体的には、実装したシステムを運用しながら広くデータを収集し、対話システムに応用可能かどうかを検討する。アンドロイドの使用については、COVID-19の感染状況も踏まえながら柔軟に対応する。現状では不確定要因が多いため、オンスクリーンエージェントを用いて研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中は大規模なデータ収集を実施することがなかったため、予定していた計算機の購入を次年度に変更した。 旅費についは、COVID-19の影響から出張を控えたためである。これについては次年度にも引き続き変更が生じる可能性があるため、研究計画の変更も含めて柔軟に対応する。
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