研究課題/領域番号 |
20K12011
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研究機関 | 東京都立産業技術大学院大学 |
研究代表者 |
成田 雅彦 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 研究員 (30513717)
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研究分担者 |
中川 幸子 青山学院大学, 情報メディアセンター, 助手 (10839898)
松日楽 信人 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20393902) [辞退]
加藤 由花 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70345429)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サービスロボット / 身体性 / 人形浄瑠璃 / 技能(わざ) / しぐさ生成モデル / 連想モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、サービスロボットの身体性を活かして、業務空間において、人と相互にメッセージのやりとりを行うための最適な動作やしぐさを実現するため、人形浄瑠璃を中心とした伝統民俗芸能の知識や技能(わざ)をロボットが利用できる形態で蓄積し、これを活用する手法を明らかにすることである。このために、研究単位1: 民族俗芸能の動作やしぐさの解明とロボット向けのしぐさ生成の研究、研究単位2: 複数ロボット連携による実証実験、研究単位3: 業務アプリケーションとの連携の3つのアプローチで研究を進めている。
研究単位1では、伝えるべきメッセージからロボットの一連の振りを生成するアルゴリズとして、連想モデルによる体系化を提案し、人形浄瑠璃の床本(台本)と振付の対応を明らかにした。床本には振付情報がなく、ロボットに適用するには不十分であったが、本手法により解決した。これは人形浄瑠璃の研究としても価値が高い。また、この方法にて公演記録映像から振を多数抽出し、開発済みのロボットOSONOを拡張・実装し、静的評価を実施した 。サービスロボットの研究では「感情」に注目することが多いが、本手法ではメッセージより振りを生成できるので、多様性の高い振りが得られる。 研究単位2では、MP4をリアルタイム配信に実装し、文科省のロボットショーケースに出展した。さらに、操作者が振りを効果音や語りと合わせる作業をすることで、リモートながら演技している臨場感がえられる。結果,ロボットをオンラインで提示する際の効果的なシステム設計指針が得られた。 研究単位3では、ビジネスへの適用の一つとして、街頭募金をテーマに、ロボットと振りの効果を検証している。第一段階として、ロボットに 街頭募金の振りを実装しセンサーや音響を統合した。また、レーザレンジファインダを用いた検証システムを構築し、国際ロボット展2022にて検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
21年度は、以下の理由で進捗に若干変動が生じたが、進捗は概ね順調である:(1)新型コロナウイルスの蔓延にともない、実証実験を予定していた大規模展示会の対面開催が危ぶまれたため、実証評価用システムを小規模にした, (2)採択論文の掲載遅れ年度を跨いだ,(3) コロナウイルス の蔓延に伴い、オンライン開催が増えたため旅費しなかった。
論文関連の処理、対面での学会発表、実証評価を再開により、本年度に進捗は回復する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究単位1では、21年度提案の連想モデルによる体系化手法にもとづき、体系化をすすめ、サービスロボットのメッセージに対して抽出素材(特徴点)を用いて振り付けを創造・合成する手法を明らかにする。具体的には、良く使われるであろうサービスロボットの一連の振りを、複数のポーズの組み合わせと、決めなど時間的な調整で合成することを想定している。創造する手法だけでなく、空間的な調整、振りを構築するプログラミング、多様性の視点も研究し、わかりやすく、自然で多様な振りを目指す。また、隣接分野の能の振りについてもサービスロボットの視点で応用の可能性を検討する。
研究単位2では、複数ロボットを用いて動作の相互作用や有効性について研究する。具体的には、相互作用として認識されるタイミングの分析・評価を実施する。
研究単位3では、21年度実施したサービスロボットの街頭募金への適用について、来場者の反応にあわせてより注意を引く振り実現と効果について研究する。具体的には、来場者の動きに対する効果的な動きの追従、振りの効果的な生成方法を研究する。また、評価・改善のために、来訪者の反応の区別(例えば、チラ見、立ち止まり、撮影、話かけなど)を把握したり、好感度の測定の可能性についても研究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
21年度は、以下の理由で予算使用実績が減少したが、進捗は概ね順調である:(1)新型コロナウイルスの蔓延にともない、実証実験を予定していた大規模展示会の対面開催が危ぶまれたため、実証評価用システムを小規模にした, (2)採択論文の掲載遅れ、支払いが年度を跨いだ, (3) コロナウイルス の蔓延に伴い、オンライン開催が増えたため旅費の発生が減少した。
昨年度残額は、本年度に生じる論文関連の支払い処理、対面での学会発表、実証評価を再開による費用に充当する。
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