研究課題/領域番号 |
20K12012
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
山崎 大河 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (40364096)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運動制御 / 運動表現 / 多目的 |
研究実績の概要 |
冗長な運動表現を活かした多目的運動制御モデルに関する研究の一環として,両足旋回(体操・あん馬)の運動制御モデルを深化・発展させた.さらに,振り下ろし動作(体操・平行棒),ムーンウォーク(ダンス技術)などに着目して,運動制御モデルを多様な力学的条件に対応できるよう発展させるための基礎的なデータの収集や解析を行った. 両足旋回は,体操競技・あん馬における最も基本的な技とされるが,3次元的な身体の回転を伴うなど,その運動はダイナミックかつ複雑である.我々は,この点に着目して研究に取り組み,今年度は,2つのポメルの間での支持点の切り替えと全身の3次元回転を考慮した運動制御モデルを構築した.このモデルでは,全身を1つの剛体セグメントとしてモデル化するとともに,このセグメントと肩関節の相対位置を変化させる機構を仮定した.さらに,重心位置,重心角,身体姿勢などの座標系(デカルト座標系,極座標系,オイラー角座標系)を用いた複数の条件の組み合わせによって制御目的を表現した.シミュレーションの結果,このモデルは実際の両足旋回に近い動きを定性的に再現できることを示した. その他,体操競技・平行棒における振り下ろし動作(スイング)の運動計測・動力学解析を行った.倒立状態から重力加速度に近い加速度で重心を落下させる運動の詳細を明らかにした.また,ムーンウォークの計測結果から,摩擦力を含めた床反力の特徴などを明らかにした.これらの研究は,今後,運動制御モデルを拡張・発展させるための準備として位置づけられるだけでなく,バイオメカニクスの観点における新規性も有するものになっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,あん馬・両足旋回に関するモデルの構築について大きな前進があったが,実験研究や論文執筆については予定よりも遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,論文公開や実験データとの比較・検討にも力を入れながら,さらに汎用性の高いモデルへと発展させる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
理論的な研究において新たな方向性が見えてきたことでそちらに力を割いた結果,実験研究と論文執筆が遅れている.次年度は,実験研究や論文発表の機会を増やせると考えている.
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