2足歩行を長周期で安定させて行うアシスト手法として、これまで行っていたおもりの直線的移動の加減速反力を利用する方法から、高速回転円板の軸方向変更によるジャイロモーメントを利用する方法(コントロールモーメンタムジャイロ)に転換し、良好な結果を得た。具体的には、今年度はじめまで採用していた足先付近でおもりを前後に加減速する方法は、アシスト効果がある一方で、足先に質量が増えるために遊脚を鉛直にする重力のモーメントが大きくなり、振子周期が短くなる。今年度は歩行周期を長く保って歩幅を大きくすることを試みているため、遊脚の周期減少は望ましくない。そこでこれを廃止(使用しないだけでなく取り外し)し、遊脚の振子周期を長くした。一方、代替の遊脚振り出しアシストとして、腰部にコントロールモーメンタムジャイロを付けてピッチ軸まわりのモーメントを発生させて遊脚を前に出すようにした。実験ではその効果を明らかにするために、もとの遊脚振り出し機能は無くしてアシスト力のみで前進するようにしたところ、足踏み状態から徐々に歩幅を増やすことに成功した。 また、前年度から引き続き試みている遊脚高さ計測結果をフィードバックして左右揺動アシスト量を調整する方法を上記と同じコントロールモーメンタムジャイロに適用した。このため、ジャイロはピッチ軸とロール軸の両方のモーメントを発生させる斜め方向に設置した。実験では重心が支持脚の鉛直上方近くまで寄る長周期の左右揺動が安定して実現できるようになり、先の遊脚アシストと合わせて、長周期で脚をゆっくり振り出す歩行が安定して実現できた。
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