研究実績の概要 |
本研究は照明光の明滅状態を機械学習モデルで分類することで、照明光の個体識別を行い自己位置推定を行うというのが概要である。基本的な原理を実装した技術は2020年度に完成したので、2021年度は実用化のためのシステム構成の検討を主な研究目的とした。 これまで本研究では、大きく分けて 1. 照明光の明滅データ収集, 2. 学習, 3. 学習済みモデルを用いた予測アプリの設定, 4. 予測 の4フェーズで実験を行っていた。前年度(2020年度)までの成果として、4. のフェーズについては誰でも簡単に使える web アプリとしての実装を実現していたが、1, 2, 3については手作業がほとんどで、事実上、ソフトウェアの開発者である研究者本人以外が作業することは不可能であった。そのため、本研究の実用性を議論するためには1から4の全工程をほぼ自動的に行えるようなシステムが必要であると考えた。 そこで本年度は一連の全作業工程を一般的なスマートフォン上で、誰もが簡単な操作で行えるサーバ・クライアントからなる web アプリの開発を行った。フレームワークには web アプリフレームワークとして評価が高い Ruby on Rails を用い、バックエンドにはユーザ毎に個別に管理可能な計測データ、機械学習モデルのデータベースを置き、フロントエンドはアクセシビリティを考慮した、(スマートフォンをメインの利用環境として想定した)ユーザインタフェースを構築した。 この成果は国内の学術会議とJST主催の「新技術説明会」で発表した。そこで問い合わせのあった企業に装置とアプリを貸し出すことで、今回開発したシステムが、一般ユーザだけの操作で半自動的に上述の1, 2, 3, 4の工程を実行可能であることが確認できた。
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