ヒトがモノを食べた時に感じる食感は多彩かつ繊細だが、これを定量的に評価し、物理的な発現メカニズムを解析する方法は確立されていない。本研究では、ハイドロゲルを用いて柔らかくて濡れているヒトの口の中の環境を模倣した口腔モデルを開発し、そこで起こる摩擦現象を解析する方法を確立した。次に、食品の基本的な剤型となるエマルションや泡の摩擦特性を評価し、一般的な潤滑特性を示すだけでなく、摩擦係数が極めて低い超潤滑状態や往路と復路でプロファイルが異なる不安定パターンを示すことを見出した。この新しい解析手法を市販の食品に応用し、摩擦ダイナミクスの観点から分類することに成功した。
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