研究課題/領域番号 |
20K12020
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
水野 統太 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (00337875)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 赤外線サーモグラフィ / 実画像 / 顔面皮膚温度 |
研究実績の概要 |
近年,職場における勤務者の疲労度や集中度を計測し,適切な休息を取り入れて職場の環境向上に努めるなど,人間がより快適な生活を送るために感情推定の必要性が高まっている.疲労度や集中度を計測する上では,これまでに,心拍,脈波,脳波,眼球運動,顔面熱画像といった生体情報を取得して,感情推定を行う手法が各種検討されてきた.特に,顔面熱画像を用いた手法は,他の手法と異なり非接触型の装置である遠赤外カメラを用いて推定することができるため,被験者(対象者)に対してストレスを与えることなく,かつ被験者の行動を制限することなく計測できることから,本手法は,有用な手法であると考えられている.そこで我々は,顔面皮膚温度を用いた感動を評価するシステムの研究の開発を行ってきた.従来の顔面の熱画像を用いた推定では,自律神経活動の交感神経の指標となる鼻部と,自律神経活動の影響を受けにくい額部の温度差分を取ることで,自律神経活動の推定する方法を用いている.皮膚温度は,深部体温の伝導熱,及び皮下を流れる血流量の変化,並びに環境温度の拮抗温度である.このことから,鼻部と額部で差分温度を取ることによって,外部温度の変化と深部体温を除いた鼻部の皮下を流れる末梢の血流量の変化のみを取得していた.しかしながら,このような従来手法では,熱画像を取得するために遠赤外カメラが必要であり,既存のシステムで手軽に自律神経活動を検出することは困難であると共に,遠赤外カメラを用意するためのコストが必要になるという問題があった.そこで本年度は,実画像から自律神経活動を推定できる方法を検討した.結果として,実画像でも皮下表面の毛細血管を流れる血流量の特徴抽出を可能とする手法を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまで皮膚温度による自律神経活動の評価であったが,サーモカメラの必要性やカメラ自体が高級であることが実用化に大きな弊害となっていたが,本研究により,通常のカメラで自律神経活動の評価の可能性を見いだせたため.
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今後の研究の推進方策 |
サーモグラフィを用いた評価方法と実画像を用いた評価方法を比較し,サーモグラフィを用いた評価方法よりも高精度なシステム開発を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で旅費と謝金に差が生じた.コロナ禍の状況を見つつ,計画通りに実行する予定である.
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