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2020 年度 実施状況報告書

対人距離感の認知メカニズムの解明とその操作技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K12023
研究機関大阪大学

研究代表者

稲垣 未来男  大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (40596847)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード距離感 / 扁桃体 / 視覚処理
研究実績の概要

目の前の相手と快適な距離を保つための対人距離感の認知は、対面コミュニケーションに重要な役割を果たす。脳損傷患者の観察研究から情動や社会性に関わる扁桃体が対人距離感の認知に関与することが示唆されている。本研究では、特に相手の顔から得られる視覚的な手がかりに注目して対人距離感の認知メカニズムの解明とその操作技術の開発を目指す。扁桃体特有の視覚処理に適合するような様式で顔の特徴へ操作を加える心理実験系を構築して、実際に対人距離感の認知に変化が生じるのかを調べる。この研究を通じて、特徴操作の内容と生じる対人距離感の対応関係が明らかになれば、人工的な対人距離感の操作技術について基盤的な知見を得ることになる。
研究計画の初年度に当たる今年度は、さまざまな操作を加えた視覚刺激を呈示して対人距離感を調べるための心理実験系の構築を開始した。また、扁桃体特有の視覚処理を反映させた顔画像を作成するためにニューラルネットワークモデルの構築も行った。大雑把な処理を行うと考えられている扁桃体特有の視覚処理を模倣するために、少数の処理層からなるニューラルネットワークモデルとして構築した。精緻な大脳皮質の視覚処理を模倣するための、多数の処理層からなるニューラルネットワークとは特性が異なることを確認した。
より臨場感のある視覚刺激呈示を実現するために心理実験系の改良を進めている。心理実験の参加者に生じる対人距離感の認知をより幅広く調べるために、生体計測によって生理指標を捉えるための拡張も進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、まず統制された暗室内での心理実験を通して基礎的なデータを得ることを目標としていた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大に関連して、当初予定していた心理実験を行うことができなかった。そこで次のステップとして計画していた、より自然な環境下での心理実験系の構築を進めることにした。そのため、今年度は主に心理実験系の改良と拡張に取り組むとともに、心理実験で呈示する視覚刺激の開発に軸足を置いて研究を進めた。制約のある中での研究活動となったため、当初の想定よりもやや研究の進捗は遅れている。

今後の研究の推進方策

次年度は、臨場感のある視覚刺激呈示を実現する心理実験系の構築を完了させて、対人距離感認知に関連する心理実験のデータを早期に取得する。提案している仮説の通りに、扁桃体特有の視覚処理に適合するような画像操作が、対人距離感の認知に影響を与えるかどうかを検証する。もしそうであれば、扁桃体特有の視覚処理の中でどのような要素(空間周波数特性、時間周波数特性など)が重要であるかをさらに調べていく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染拡大にともない、学会や研究会が中止あるいはオンライン開催となったため、旅費や英文校閲費等が発生しなかった。同様の理由で、心理実験の実施も困難であったため、一部の実験機器の導入を見送った。また、実験参加者への謝金の支払いも発生しなかった。
次年度は、現状に合った心理実験を行うため、実験機器等を追加購入するとともに、感染拡大の収束を待って集中的に心理実験を実施する。同様に感染拡大が収束した後に、成果発表や情報収集のため、学会や研究会へ積極的に参加する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 大脳皮質と皮質下における恐怖表情処理の比較: 畳み込みニューラルネットワークによる検討2020

    • 著者名/発表者名
      渡辺直樹, 稲垣未来男, 林燦碩, 小松優介, 篠崎隆志, 藤田一郎
    • 学会等名
      日本視覚学会2020年夏季大会
  • [学会発表] 顔の先行呈示による運動検出処理への影響2020

    • 著者名/発表者名
      山下航平, 稲垣未来男, 藤田一郎
    • 学会等名
      日本視覚学会2020年夏季大会

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公開日: 2021-12-27  

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