研究課題/領域番号 |
20K12029
|
研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (90325895)
|
研究分担者 |
佐藤 直行 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (70312668)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 聴覚印象 / 生体反応 / 超音波 / 自然音 / 末梢皮膚温度 / 末梢血流量 / 感性評価 / 自律神経活動 |
研究実績の概要 |
本研究では可聴帯域を超える超高周波を含む空気振動が音の質感認知と生体に及ぼす効果の解明を目指した.20年度は超高周波音を含む音の知覚が耳介の形状によって変容することを明らかにするため,疑似耳介に小型マイクを装着して録音し周波数解析を行ったが特徴的な傾向は認められなかった. 21年度では超高周波を含む自然環境音を聴取している際の生体反応を計測したところ,①耳朶周辺の血流速度が変化した,②前額に比べ鼻頂の皮膚表面温度が上昇した,③心拍LF/HF値のばらつきが減少した.これらのことから,超高周波を含む空気振動に曝露されると交感神経の活性度が低下傾向になることが示唆された. 22年度はストレス課題前後において,超高周波及び低周波(非可聴音)付加の有無で自然環境音聴取時の末梢皮膚表面温度の変化を測定したところ,ストレス課題後,非可聴音付加条件のほうが前額に比べ指尖部の皮膚表面温度が上昇する傾向になった.さらに,聴覚印象指標として日本語版PRSを用いたところ,非可聴音付加条件のほう得点平均値が高かった.これらのことから,自然音に非可聴音を付加した空気振動はストレス回復効果が高いことが認められた. 23年度は自然音に超高周波を付加した際の末梢皮膚温度の変化を測定した.22年度と同様の手続きでストレス課題前後で温度を測定したところ,超高周波付加条件のほうがストレス課題後に急激に皮膚温度が上昇し,高いままで維持されることが明らかになった.そこで,超高周波を付加した際,可聴帯域の音波がどのように変化しているのかを明らかにするため自己相関分析を行った.低域ホワイトノイズに,実験で用いた超高周波を付加した空気振動を外耳道模型を用いて録音し,拡張自己相関関数を用いて解析したところ,周期的なピンクノイズスパイク列が現れた.つまり,可聴音帯域の音波自体が秩序づけられて構造化されたことが示唆されたといえる.
|