研究課題/領域番号 |
20K12049
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
長島 文夫 杏林大学, 医学部, 教授 (70348209)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生体情報 / ウェアラブルデバイス / 高齢者 / がん薬物療法 |
研究実績の概要 |
2021年度までに得られた研究成果から、臨床現場でリアルタイム生体情報を活用し、訪問診療医との連携共有する仕組みを構築して、新たな臨床試験を準備・開始する予定であったが、新型コロナ感染症の拡大により、一般診療への負担が大きくなり、当初予定した臨床試験という方法は変更することとした。一方で、訪問診療やオンライン診療の在り方が活発に議論されるようになり、2022年度は、オンライン診療を含めたヘルスケア事業を手掛けている企業(AP TECH株式会社)が進める岩手県八幡平市における行政と連携したプロジェクトとも情報共有を行った。同社に所属する医師、救急救命士が直接医療現場のニーズを把握しながら必要な医療連携の仕組み構築を進めており、がん患者の診療にフィードバックすべき点を共有した。 また、アプリ開発担当者とも相談を行い、簡便なセンサーによるバイタルサインの取得と共有化を可能とする仕組みを準備した。新型コロナ感染症を経験し、パンデミックや自然災害時には、平時と比べて大きな負荷がかかることをあらためて認識することとなり、平時の対応をより現実的に対応できるよう、さらには災害時の慢性疾患医療の対応として、行政や地域間医療連携も視野に入れる必要があり、厚生労働省担当者、災害医療の専門家とも相談を行った。ウェアラブルデバイスのみの対応にとどまらず、総合的なシステムを再構築するために、工学系の視点を盛り込むことを念頭に、医工連携の専門家とも協議を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度も、新型コロナ感染症による診療の影響、負担は依然として大きく、より効果的なシステムの在り方について関係者と議論を行った。当初予定していた、あらたな臨床試験は行わず、ヘルスケア会社やアプリ開発業者と連携し、簡便なバイタルサイン取得システムの開発を進め、がん診療等の慢性疾患の災害時対応についても視野に含めて準備を進めた。また、今後はあらたなシーズ探索とそれを含めたシステムの再構築も重要と考え、東北大学医工連携研究科と情報を共有した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の影響で、既存の医療システムは大きな影響を受け、救急医療だけでなく、慢性疾患診療においてもその対応に大きな負荷がかかることとなった。高齢者のがん診療という慢性疾患診療において、効率的な臨床情報の取得とその有効活用については、ウェアラブルデバイスだけでなく、患者背景を含んだ多様な視点に配慮したシステムの構築、普及実装が必要であることを再認識することとなった。工学系の視点を盛り込んだ医工連携の専門家の意見も取り入れて開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた臨床試験は、新型コロナ感染症の影響のため延期としていて、2022年度もおこなわず、次年度使用が生じた。次年度は医工連携の専門家との協議を推進する。
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