研究課題/領域番号 |
20K12051
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30165162)
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研究分担者 |
小川 令 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (70398866)
金涌 佳雅 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80465343)
秋元 敏雄 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30184112)
山崎 峰雄 日本医科大学, 医学部, 教授 (10277577)
足立 好司 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00231928)
土肥 輝之 日本医科大学, 医学部, 講師 (10575385)
市川 実咲 日本医科大学, 医学部, 助教 (50879848)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | NMR / 階層モデル / 診断モデル / 混合病態 / モード解析 |
研究実績の概要 |
疾病発症前に異常を検出し、超早期診断によって先制医療を行うなど予防医学を推進するとともに、疾病の存在とそれに伴う全身の代謝変化等を総合評価し得る手法の開発が待ち望まれている。本課題では我々が開発した「NMRモード法による血清診断法」を医療応用する目的で、これまでの臨床研究で得られた成果をベースに、あらたに「階層モデリング」の手法を導入し、診断の効率化と精度向上をめざしている。また、疾患モデル動物を使った基礎的研究を行い、肥満、高血圧、高血糖、高脂血症の発症前と発症後の血清NMRモード解析を行って、病態発症予測モデルの作成を試みる予定もあり、本技術が高齢者の多くにみられる混合病態の評価法として応用できる可能性を探っている。 「NMRモード法」の医療応用をめざし、令和3年度は以下の研究を行った。 (課題1)「階層モデリング」はNMRモード解析による血清診断の精度や効率を向上できるか。 (課題2)血清のNMRモード解析は複雑な混合病態を適切に評価し、発症予測モデルを作成できるか。糖尿病モデル動物を飼育し、動脈硬化病変の発症前と発症後の血清NMRモード解析を行い、病態発症前に発症リスクを検知できる診断モデルを作成できるか検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(課題1)に関しては、認知症、パーキンソン病、ケロイド体質等を研究対象として「NMRモード法による血清診断法」の臨床応用を目指した研究を進めた。 (課題2)に関しては、令和2年度に立案した実験計画に従って、高血糖の疾患モデル動物を飼育し、血清NMRモード解析し、「動脈硬化病変」との関連を調べた。「高血糖」が「動脈硬化病変」の主因となることが一般に知られていることから、市販の「糖尿病モデルマウス(BKS.Cg(日本クレア))を選択し、一定期間飼育して、採血および頸動脈、心臓および腎臓を採取した。組織学的検査により動脈硬化病変の有無を確認する共に、各個体の血清サンプルについてNMRモード解析を行い、高血糖下でのagingによる血管や心臓および腎臓の組織所見の変化と「血清NMRモード」と比較することで、「動脈硬化病変」に関して血清をNMRモード解析することで病態発症予測モデルが作成可能か検討した。
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今後の研究の推進方策 |
(課題1)に関しては、令和3年度に行った認知症、パーキンソン病、ケロイド体質等に関する研究を継続すると共に、脳腫瘍に関しても同様の手順で研究を進める予定である。 診断モデルの作成および検証に必要十分な臨床サンプルをさらに確保し、血清NMRモード解析を行う。パーキンソン病に関しては、サンプル数は少ないものの良好な結果が得られたため、第63回日本神経学会学術大会(2022年5月、東京)で報告する予定である。 (課題2)に関しては、令和3年度に実施した実験データをとりまとめ、論文報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に続き、新型コロナウィルス感染症の蔓延とNMR装置および実験施設のリニューアル工事が重なり、実施する予定であった患者血清サンプルの収集とNMR測定およびデータ解析に必要十分な時間を割くことができなかった。令和4年度は、(課題1)の研究において、データ解析の効率と精度向上を目的に「血清NMRモード解析」を実施するソフトウェアの改良を行う予定となり、新たにプログラムの作成および検証等に費用が発生する。また、学会発表や論文報告に関する費用も必要となった。
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