研究実績の概要 |
難病の多くは希少疾患であり患者が少ないため、創薬研究がなかなか進まない状況である。一方、疾患数は約7,000もあり、合計患者数は3.5億人に上るとされていて、疾患領域としての創薬ニーズが高い。本研究では、厚生労働省の最新の指定難病338疾患をベースに創薬情報の解析を行い、データベース(DDrare, database of Drug Development for RARE diseases;ddrare.nibiohn.go.jp)を開発・改良した。DDrareでは、指定難病の疾患オントロジー(英語名及び同義語リスト)を作成し、日米欧中の臨床試験データから開発薬剤の情報を抽出して、それらの標的遺伝子/パスウェイの情報をつないだ。薬剤及び標的の情報を疾患横断的に比較可能とすることで、DDrareはドラッグ・リポジショニング候補の探索に有用である。最終年度となる3年目(令和4年度)は、疾患オントロジー、臨床試験、薬剤、標的遺伝子/パスウェイデータを更新するとともに、疾患詳細(Disease details)ページを充実させた。具体的には、①疾患群、臨床調査個人票(リンク)、小児慢性特定疾病との対応等の情報を拡充し、②薬剤ごとに、開発者とその臨床試験データを一覧表示する"Drug dev"、③ドラッグ・リポジショニングが可能と推測される疾患ペアをグラフィカル表示する"DR info"機能を新規実装した。DDrareへのアクセスは年々増加している。アカデミアから製薬企業まで、難病・希少疾患の創薬研究の裾野を広げるとともに、臨床研究・治験等を推進する原動力の一つとなることが期待される。
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