研究課題/領域番号 |
20K12057
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
園部 真也 東北大学, 大学病院, 助教 (30869079)
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研究分担者 |
冨永 悌二 東北大学, 大学病院, 教授 (00217548)
藤村 幹 北海道大学, 医学研究院, 教授 (00361098)
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 特任教授 (10447162)
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10643330)
麦倉 俊司 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (20375017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | もやもや病 / RNF213 / 内頚動脈 / 中大脳動脈 / MRA / AI / 機械学習 / machine learning |
研究実績の概要 |
・研究の遂行について倫理委員会の承認を得た。 ・研究に使用するデータの利用許可を得た。また研究に使用するデータの大部分について利用準備を完了した。 ・研究の手法についてより詳細な吟味を行った。具体的には、研究の核を成す「血管の信号を解剖学的な理解に基づいて正確に抽出する」ことと「血管形状を数値に変換し各種のパラメーターを取り出す」ことについて手法を洗練した。それぞれについて分けて以下に記載する。 ・「血管の信号を解剖学的な理解に基づいて正確に抽出する」過程については、当初の研究計画では血管の信号を平面へ投射して計測する方法を予定していたが、平面へ投射せず立体的な位置関係を維持したまま信号を処理する方法が新たに考案された。後者の方がより正確に血管形状を数値化できることが判明したため、後者の手法を用いることとした。 ・「血管形状を数値に変換し各種のパラメーターを取り出す」過程について、試行錯誤を重ねた。様々な既存のモデルやアルゴリズムを試したが、それぞれ一長一短があり、血管形状の個人差に対応しきれないことによる不具合が存在することが判明した。特に、血管の走行に垂直な断面で血管を観察した際に正円でない場合(扁平な血管であるため断面が楕円の場合や狭窄を伴う血管であるため断面が不整形の場合)においてこれらの不具合が顕著であり、これを解決するような新しいモデルとアルゴリズムを有するプログラムの開発に着手した。同プログラムの開発について、およそ八割程度の達成が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の調整により本年度自体は適切な進捗が得られた。一方で、COVID-19感染拡大の影響に伴う初年度の遅れが尾を引いており、研究期間全体としてはやや進捗が遅れている。 また、依然として、COVID-19感染拡大の影響に伴い、本研究に対するエフォートの減少と、人的資源の流動性不良が存在し、これらに伴う研究着手の制限が強いられている。本年度は、より負担の大きい作業を次年度に回すことで、十分な進捗を確保できるよう調整した。具体的には、作業を依頼する人材を雇用できなかったため、人件費の使用を次年度へ繰り越して、人的資源を比較的に要しにくい工程を優先的に処理した。
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今後の研究の推進方策 |
・まずは【研究実績の概要】の項に記載した「新たしいモデルとアルゴリズムを有するプログラムの開発」を完了する必要がある。基盤となるプログラムは大部分が作成されており、血管形状の個人差に対応することが今後の作業における主な課題となる。 ・開発したプログラムを用いて、非常に多くの症例について「血管信号の数値化とパラメーターの抽出」を行う。また、解析の結果と照らし合わせながら、より適切な解析条件を検討する。この過程には多くの人的資源と膨大な計算時間を要する見込みである。 ・前述の過程により抽出されたパラメーターを用いて、遺伝子異常と関連する特徴的な血管形状を探索し、この形状変化を説明し得るパラメーターを特徴量として抽出する。得られた特徴量を用いて、遺伝子異常と関連する血管形状を有するか否かを判定する機械学習モデルを作成する。このようにして構築されたモデルと、もやもや病の病態生理学的な理解を照らし合わせて、特徴量の有する臨床的な意味を吟味する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前項の記述にもあるように、COVID-19感染拡大の影響による初年度の研究進捗遅延が尾を引いている。 また、本年度の進捗を確保するために、人件費の使用を要するような作業が次年度へ回るよう研究計画を調整した。 これらに関連する費用すなわち大部分の人件費が次年度に繰り越された形である。 次年度は残された予算の大部分を人件費として投入し、遅れている研究の進捗を取り戻すことを計画している。
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