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2022 年度 実施状況報告書

デンドライト空間の分子シミュレーションより明らかにするシナプス可塑性の空間ルール

研究課題

研究課題/領域番号 20K12062
研究機関藤田医科大学

研究代表者

浦久保 秀俊  藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40512140)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードヘテロシナプス可塑性 / Ca2+シグナル / 反応拡散シミュレーション / 計算論的神経科学
研究実績の概要

まず、シミュレーション結果とスパイン形状の関係を定量的に評価するため、スパインの形状の手動ラベルを補助すると共にスパイン特徴量を導出するソフトウェアを開発した(UNI-EM Annotator)。樹状突起を3次元表示すると共にスパイン部分を手動でラベルできるようにし、ラベルされたスパインの体積・表面積・長さなどの特徴量を計算できるようにした。
続いてGPUシミュレータLattice Microbesを用い、ヘテロシナプス可塑性の入力を導くシナプス刺激を行って(6シナプス同時刺激,0.5 Hz,30回)、その際のCa2+シグナル,CaNシグナルのシミュレーションを行った。その結果、シナプス刺激は幹となる樹状突起においてIP3受容体を刺激して、Ca2+-induced Ca2+ release (CICR) が生じて樹状突起Ca2+シグナルがCaN活性を導くことが明らかとなった。CaN活性は首(ネック)が太いスパインへ優先的に拡散することも明らかとなった、これは、ネックが太いスパインにおいてヘテロシナプス可塑性が優先的に生じる可能性を示唆する。
スパインネックの太さを実験で観測することは困難であるが、スパインを対象にしたFRAP実験の回復時定数からネックの太さを推測することができる。そこで、現在は、共同研究をお願いして実験実証の可能性を検討している。さらに、樹状突起におけるCICRは細胞内小胞体(ER)の形状に依存して不均質に生じることも示唆されており、対応する実験との比較対照を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

GPUベースのLattice Microbesによるシミュレーションが順調に動作すると共に、スパインの形状の手動ラベルを補助すると共にスパイン特徴量を計算するソフトウェアの開発に成功した(UNI-EM Annotator)。シミュレーション・解析における技術的問題は解決している。現在、シミュレーション結果の解釈や、実証可能な予測を行う段階にあり、慎重な検討を進めている。

今後の研究の推進方策

シミュレーションを継続して結果の解釈を慎重に行いつつ、必要に応じて実証実験をお願いして論文にまとめる。実証実験は共同研究を依頼する先方の事情に依存するため困難が予想されるが、最善を尽くす。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、新たにGPUサーバを購入してシミュレーションを加速させた。効果は絶大で、各GPUの計算速度は既存のGPUの2.5倍となった。ただし、シミュレーション結果の解釈・実証に時間を要しており、業務自体が次年度中に終わらない可能性が高い。そこで、本研究の継続性を考慮して必要な経費を次年度以降に持ち越すこととした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Tri-view two-photon microscopic image registration and deblurring with convolutional neural networks2022

    • 著者名/発表者名
      Lee Sehyung、Kume Hideaki、Urakubo Hidetoshi、Kasai Haruo、Ishii Shin
    • 雑誌名

      Neural Networks

      巻: 152 ページ: 57~69

    • DOI

      10.1016/j.neunet.2022.04.011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] コネクトーム:ミクロ・メゾ・マクロレベルの新展開2022

    • 著者名/発表者名
      浦久保 秀俊、渡我部 昭哉、中江 健、石井 信、銅谷 賢治
    • 雑誌名

      解剖学雑誌

      巻: 97 ページ: 1-5

  • [学会発表] The mechanism for the formation of phase-in-phase assembly at the postsynaptic density2023

    • 著者名/発表者名
      Vikas Pandey, Tomohisa Hosokawa, Yasunori Hayashi, Hidetoshi Urakubo
    • 学会等名
      LLPS Workshop 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] コンピュータシミュレーションは樹状突起Ca2+シグナルがヘテロシナプス可塑性のために重要であることを示唆する2022

    • 著者名/発表者名
      浦久保 秀俊、Laxmi Kumar Parajuli、深澤 有吾、岡部 繁男、石井 信、窪田 芳之
    • 学会等名
      NEURO2022
  • [学会発表] 分子神経科学・コネクトミクス研究において計算モデルが果たす役割2022

    • 著者名/発表者名
      浦久保 秀俊
    • 学会等名
      藤田医科大学ICBSセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] GPUを用いたスパイン-デンドライトCa2+シグナルシミュレーション2022

    • 著者名/発表者名
      浦久保 秀俊
    • 学会等名
      生理研研究会「大脳皮質を中心とした神経回路:構造と機能、その作動原理」

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公開日: 2023-12-25  

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