研究課題/領域番号 |
20K12065
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
大北 剛 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 特任准教授 (20615520)
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研究分担者 |
有村 公一 九州大学, 医学研究院, 助教 (00638025)
飯原 弘二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 病院長 (90270727)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脳血腫の解析 / 深層学習 / 頭蓋骨の消去 / セマンティックセグメンテーション |
研究実績の概要 |
研究期間全体での目標は, (A)血腫の分類, (B)血腫が急発達するかの予測, (C)予測した画像の生成という3つである. 本年度は(A), (B)に関して発展させた. いずれの課題も準備も含めると(1)データのアノテーション, (2)補助的なアルゴリズムの開発, (3)アルゴリズム開発が存在する. (A3)については, 条件つきセマンティックセグメンテーションと分類に対する新たなアルゴリズムを開発して, 適用した結果を発表した(文献1と2). 分類だけを行なわせた場合に精度が上らなかったが, 今回に考案したアルゴリズムを適用することにより, ベースラインの性能の向上を得られた. 但し、血腫の脳内での位置の効果を入れたセマンティックセグメンテーションに関してはこの効果の評価は施設の数に関して効果がある場合とない場合があった. 具体的には施設1に対する性能は非常に良いが, 現在施設1-3に対しては平凡な結果を得られた. おそらく, 施設の数を12施設に増やせば良い性能を得られるのではないかと考える. (A2)の手法を加えて、機械学習の際に課する仮定が成り立たないために引き起こる典型的問題に対処する方法も同様に試しているが, 効果を得ることに苦労している. 敵対的生成ネットワークを用いた方法を援用することにより改善させる新たな方法を考案でき、現在評価途中である. なおこの問題に対する基本的な対処法はセグメンテーションのアノテーションを増やす方法である. これは人手が必要ということで時間と手間を要するが本年はこれに対処する. (B3)に対してはDPCなどのデータと画像から限定的な施設に対しての実験を行ったが, 限定的であり未発表である. (C3)に関しては, 敵対的生成ネットワークを用いた方法を用いて評価をしているが発表には至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の(A3)については最初の版を発表した. 精度という点においては若干, (A2)に関する現在試している敵対的生成ネットワークを用いた改善策での評価を待ちたいが, その他に関しては徐々に技術的に進歩させていると感じている. (A2)や(C3)に関しては発表には至っていないが, エンジニアリング的には実現への努力をしており, 評価途中といった段階である. 以上の理由で, おおむね順調だと判断している.
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今後の研究の推進方策 |
(+)現在12施設のデータのうち, セマンティックセグメンテーションのためのアノテーションが完了したデータは施設3までである. 半自動の方法を用いてこれを増加させる予定である.(+)(A2)に対する敵対的生成モデルを用いた超解像モデル、ノイズ除去法は, 初期に考えていた機械学習の際に課する仮定が成り立たないために引き起こる典型的問題に対処する方法を適用する際に非常に役立つことがわかってきた. 敵対的生成モデルは識別器を訓練することにより, 生成器の精度を上げることを意図する. 一方、機械学習の際に課する仮定が成り立たないために引き起こる典型的問題においては,生成器の分布がデータが少ないために信頼できないものであったり, 訓練時とテスト時の分布が異なるなど, さまざまな原因で問題となる. 生成器の分布を修正する際に, 大元の生成器の分布の精度の向上は, 機械学習の際に課する仮定が成り立たないために引き起こる典型的問題に対処した際の効果を増大させる可能性をもつからである. この評価を引き続き行い, (A3)に関して精度の改善に効果があることを示したいと考えている. (+)(B)と(C)に関する方法を完成させることを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した脳外科医による予測結果の精査に関する事項は, 若干予定を変更して, 後へずらし, その前にデータの拡充などへ方策を変更したために、次年度使用額が生じた.
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