研究課題/領域番号 |
20K12066
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
諏訪部 章 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20241713)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人工知能 / 呼吸機能検査 / 臨床検査技師 |
研究実績の概要 |
病院の院内検査室における生理機能検査は、基本的に臨床検査技師(以下技師)が患者に1対1で対応するため人手と時間がかかり、かつ熟練した技師を配置する必要があることから、検査部運営の効率化にとって大きな障害となっていた。本研究では、生理機能検査室の効率化を目的として、呼吸機能検査(スパイログラム)の操作をビデオと音声のアシスト下で患者自身が自分で行う自動呼吸機能検査システム(オートスパイロ)を構築することを目的とする。令和2年度は、「人工知能装備型自動呼吸機能検査システム(オートスパイロ)の開発」の前段階として、患者に呼吸機能検査の説明と検査の指示を行うAI搭載ロボット(ユニボ)の開発を優先させた。ユニボのプログラム作成会社である株式会社エデュケート(東京都)と入念にリモート会議にて打合せを行い、令和2年8月には研究代表者がエデュケート社を訪問し、スタッフと打合せを行うとともに、ユニボに搭載する動画素材を作成した。令和2年11月までには試作機が完成し、11月19日~22日に盛岡市で開催された第67回日本臨床検査医学会学術集会における特別ブースである「AI検査室」にてデモンストレーションが行われ、参加者に試作機で自由に呼吸機能検査を体験していただいた。その後、スタッフ間で試作機の問題を洗い出し、さらに患者に使いやすい仕様に変更中である。また、実際に患者に試作機を使用してもらうべく、令和3年3月に岩手医科大学医学部の倫理委員会に倫理申請を行い、5月には承認予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユニボの試作機の開発、倫理委員会の申請など、研究実施に向けての準備はおおむね順調に進んでいる。しいて言えば2020年度は全国的な新型コロナウイルス感染症の蔓延により、呼吸機能検査の実施自体が自粛傾向にあったことがマイナス要因ではあったが、全体的に見れば研究自体はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当大学医学部倫理委員会の承認が得られ次第、実際の患者(今年度は約50名)を対象にユニボにより被検者自身が安全かつ適切に呼吸機能検査を行うことが可能であるかを検証してゆく予定である。被検者には検査後のアンケートを依頼し、試作機のさらなる改良につなげる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、初年度より患者を対象にユニボによる呼吸機能検査を実施する予定であったが、ユニボの開発が若干遅れたこと、その結果倫理委員会申請が遅れたこと、さらに新型コロナウイルス感染症の影響で呼吸機能検査自体が自粛傾向にあったことなどの理由により、消耗品の消費が減ったことによる。 次年度は、倫理委員会での研究実施の承認が得られる予定であり、ユニボのプログラム改良が終了次第、早々に被検者に対する呼吸機能検査を実施する。呼吸機能検査の消耗品(ノーズクリップ、マウスピース、アダプタなど)の購入も増えるので、繰越金額はその購入に充当する。また研究成果の一部は、今年度秋から冬にかけて開催される学会への発表も予定しており、その旅費などにも充当する予定である。
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