研究課題/領域番号 |
20K12066
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
諏訪部 章 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20241713)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 呼吸機能検査 / 人工知能 / 臨床検査技師 |
研究実績の概要 |
病院の院内検査室における生理機能検査は、基本的に臨床検査技師(以下技師)が患者に1対1で対応するため人手と時間がかかり、かつ熟練した技師を配置する必要があることから、検査部運営の効率化にとって大きな障害となっていた。さらに、2020年から全世界で新型コロナウイルス感染症が蔓延し、潜在的なコロナ陽性患者が呼出努力を伴う呼吸機能検査を行うことで検査担当の技師が感染のリスクに曝されるという問題が生じてきた。本研究では、生理機能検査室の効率化と技師を新型コロナウイルス感染症から守ることを目的として、呼吸機能検査(スパイログラム)の操作をビデオと音声のアシスト下で患者自身が自分で行う自動呼吸機能検査システム(オートスパイロ)を構築することである。令和2年度に、「人工知能装備型自動呼吸機能検査システム(オートスパイロ)の開発」の前段階として、患者に呼吸機能検査の説明と検査の指示を行うAI搭載ロボット(ユニボ)の試作機を開発した。それを用いた臨床研究実施の承認が、令和3年4月26日に当大学医学部倫理委員会より下りた(MH2020-001)。その後、スタッフ間で何度かZoomによるリモート会議を行い、試作機の問題を洗い出し、令和3年度の前半を利用して、さらに患者に使いやすい仕様に変更した。令和3年10月21日より、当院附属内丸メディカルセンターの人間ドックの受診者で同意が得られた方にユニボによる呼吸機能検査を実施し、令和4年3月末の段階で31例のデータが収集され、令和4年度も引き続き症例を集積予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度内に50症例の集積を予定していたが、実際には31例で目標の約6割程度の進捗である。原因としては、年度後半からの開始になったこと、人間ドックの合間を縫っての研究実施であることから一度に大人数の検査実施が困難で、週2回(月曜と木曜)、1回に2名を実施しているが、新型コロナ感染症蔓延の影響で受診者がない週もあることなどが考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度も目標50症例を目標に研究を進める。ただし、これまでの結果から、肺活量(VC)は問題ないが、努力肺活量(FVC)の呼出努力が引き出せないという問題が生じており、ユニボの説明内容をバージョンアップし、さらに呼吸器疾患患者に対象を広げる予定である。また、途中段階でも学会等に発表してゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、50症例が目標だったが、年度後半からの開始になったこと、一度に大人数の検査実施が困難なことから、呼吸機能検査の消耗品(ノーズクリップ、マウスピース、アダプタなど)が減ったこと、また新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、関係者との打ち合わせがZoomによるリモート開催になったり、学会参加もリモート参加になったりしていることで交通・宿泊費が不要になったことなどが考えられる。今後は、目標症例数を達成した後に、疾患患者へ対象を広げ、かつ学会活動も復活していることから、積極的に関連学会での発表を続けてゆく予定である。
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