研究課題/領域番号 |
20K12070
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
三上 史哲 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (80550392)
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研究分担者 |
秋山 祐治 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10596000)
難波 知子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30441489)
植田 嘉好子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (40612974)
森戸 雅子 川崎医療福祉大学, 保健看護学部, 准教授 (50389029)
横井 英人 香川大学, 医学部附属病院, 教授 (50403788)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療的ケア |
研究実績の概要 |
医学の進歩を背景として、人口呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な医療的ケア児数は増加傾向にある。医療的ケア児を取り巻く問題の一つに、保育所での受け入れ体制が十分に確保されていないことが指摘されている。そこで、医療的ケア児の保育所利用状況について調べ、さらに保育所利用時に必要な情報を整理していく中で、情報共有の範囲と扱われる情報は自治体ごとに標準化されているか、そしてその情報を有効に活用できる仕組みになっているかを調査し、医療的ケア児とその保護者が安心、安全、簡単に保育所を利用できる環境づくりを検討した。 本調査実施前に、厚生労働省が公開する資料を用いて、医療的ケア児の保育所利用状況の調査と予測人数を算出し、医療的ケア児の保育所受け入れ体制がどのくらい不足しているか検討した。続いて医療的ケア児の受け入れを行っている自治体が公開している医療的ケア実施記録を検索し保育所利用時に発生する情報資料の様式を整理して、発生する資料は自治体ごとに標準化されており活用できる仕組みになっているか検討した。 医療的ケア児は一般の保育所受け入れ体制に比べておよそ34%も受け入れ体制が不足しており、カイ二乗検定の結果からも有意に少ないことが確認できた。また、発生する情報資料の様式については、その内容は標準化されていなかった。 また、スマートデバイスで稼働する情報共有システムの構築方法についての検討として、デモ的に簡単なサーバやアプリの構築を行うなど、システムに必要な要件の把握のための準備を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究開始時点では、保育所での医療的ケア児の受け入れ体制の情報が公開されている地域はほとんど存在しなかったため、アンケート調査によって医療的ケア実施内容を把握する予定であった。しかし、令和元年5月に「保育所での医療的ケア児受け入れに関するガイドライン」が地方自治体等へ通知されたことにより、昨年秋ごろから各地方自治体のホームページ上で医療的ケア児の保育所の受け入れ体制の情報提供が充実してきた。そのため、インターネット上による情報収集によって当初の計画を遂行できる水準の情報を取得することができた。 また、スマートデバイスで稼働する情報共有システムの構築を目指しているため、その試作版の開発にも取り組んでおり、順調な進捗であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは研究者が所属する研究機関の地域において生活している医療的ケア児を対象とした情報共有システムの構築を試み、医療的ケア児およびその家族が安心・安全に生活できる共通機能を検討する。 また、対象地域において稼働する地域医療連携システムとの連携も検討し、医療従事者間での効果的な情報共有の方法を示す取り組みも実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加による情報収集の経費を計上していたが、多くの学会がWeb開催あるいは中止となり、出張旅費が不要となった。また、アンケート調査を実施しなかったことにより、いくらかの経費を使用しなかった。未使用分については、情報共有システムの開発経費に充当したい。
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