研究課題
【背景】医療的ケア児及びその保護者は、基幹病院、医療的ケア児相談支援センター、行政機関、訪問診療所を含む地域の診療所、訪問看護事業所、訪問介護事業所、保育所など多くの機関と連携して地域で生活している。これらの各機関で発生した情報連携が適切に行われれば、より有効な支援につなげられる。そこで、関係施設間で医療的ケア児の情報を連携可能なシステムの利用を試行し、運用検討を行った。【方法】社会福祉法人旭川荘が運営している医療的ケア児相談支援事業所、地域療育センター、短期入所施設、通園センターおよび保育所にて、ケアキャビネット(株式会社両備システムズ提供の多職種情報連携システム)を利用できる環境を整え、各関係機関で発生する情報をどのように連携すべきかの運用検討を行った。なお、システムに情報登録する利用者の保護者(1名)には事前に旭川荘内で情報を共有することの同意を得て実施した。【結果】運用検討の段階では、通常業務への影響を最小限とするために、情報連携のタイミングは毎日の情報送信ではなく、他の関係機関を利用する前日までに情報を送信する運用とし、連携方法についても、既存の記録用紙の内容を写真撮影し、その画像を共有する方法を基本とした。また、各機関で使用している記録用紙の内容の一部については、ケアキャビネット上で電子的に記録可能とし、記録業務や記録内容の活用(検索)の効率化にもつながるシステムも提供した。【考察】これまで他機関で発生した情報を受け取るためには電話連絡による口頭での連携が通常であったが、ケアキャビネットを導入することで事前に各機関の記録様式の形で正確な情報を把握することが可能となった。今回は同一法人のみでの有効性の検証を行ったが、今後、訪問診療所や訪問看護事業所など、医療的ケア児が利用する他の法人が運営する関係機関を含めた情報連携方法についての検討も進めたい。
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