研究実績の概要 |
研究実施計画における令和5年度目標は、製品リスク情報オントロジーの応用システムの試作と、これを用いて種々の製品リスク情報DBの知識統合を行うことである。この目標を達成するため、製品事故DBを中心して、製品の品目別や事故発生パターン別による高品質なサンプルデータを選別し、製品事故DBの統合・利活用のためのLinked Dataシステムの設計を行い、その有効性を検証した。 具体的な手順:①異なるDBの共通項目を用いてデータ統合を可能とする情報枠組みを設計した。共通項目として、「事故発生日」、「品目」、「被害の種類」など19項目を選んだ。②CSVやExcelなど機械処理しやすい形で三つのDB(NITE事故情報検索DB:2000件;事故情報データバンクシステム:500件;キッズデザインの輪DB:500件)から3000件のデータを準備した;③RDF化に必要なURIの準備を行った;④オントロジーエディタProtegeを用いて、RDFデータを作成した;⑤ ④で作成したRDF化のデータをApache Jena Fuseki というSPARQLサーバーに登録して公開できる状態となっている。これをPIED-Ontoと名付けた。 また、製品リスク情報DBの知識統合のケーススタディとして,R4年度に新たに追加した自動車リスク情報との統合に取り組み、PIED-Ontoに「走行距離」、「不具合措置」など20項目と130個標準語彙を追加作成し、拡張版のPIED-Ontoを完成した。更に、国土交通省に所有している「自動車リコールDB」、「自動車不具合DB」、「自動車事故・火災DB」の三つDBから抽出した21,986件データを製品リスク情報オントロジーの応用システムに加えた。最後に、SPSS Modeler Authorizedを用いた事例分析を行い、試作したリスク情報システムの有用性を示した。
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