| 研究課題/領域番号 |
20K12078
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| 研究機関 | 鳥取大学 |
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研究代表者 |
高橋 健一 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (30399670)
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| 研究分担者 |
川村 尚生 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (10263485)
菅原 一孔 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (90149948)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 障碍者支援 / 行動分析 / BLEビーコン / 人体の影響軽減 |
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| 研究実績の概要 |
自閉症や知的障害のある人に対して日常生活や社会生活の支援を行う障害者福祉支援施設（以降、福祉施設と呼ぶ。）では、職員間で施設利用者の問題行動を共有し、職員が同じ支援手順で利用者に関わることが重要とされている。このためには施設利用者の示す強度行動障害によって引き起こされる種々の問題行動を把握すると共に定量化して記録する必要がある。しかし、福祉施設の現場において職員の数は必ずしも十分といえず、職員が利用者の支援を行いながら問題行動を客観的に把握し、逐次記録することは難しい。また、問題行動の把握に関して、プライバシに配慮した、施設利用者や職員が受け入れ可能なシステムが望まれている。そこで、ビーコンセンサを用いた施設利用者の問題行動把握、および、記録をサポートするシステムを研究開発すると共に、その実用化を目指している。
令和2年度はBLEビーコンによる行動把握のための推定位置精度の向上、および、施設利用者の行動を継続的に取得し分析を試みた。
【行動把握精度の向上】BLEビーコンの電波は2.4Ghz帯を使用しており、人体の影響を受けることが分かっている。人体を通過したビーコンの電波は大きく減衰し推定位置に誤差が生じる。そこで、人体による影響を調査すると共に、人体への影響を軽減することで推定位置の誤差を軽減することを試みた。具体的にはCetroid法と推定結果の差分を併用することで推定位置の誤差を40%程度軽減することができた。
【行動分析】BLEビーコンにより取得された情報を元に滞在場所を推定すると共に、一日分の行動履歴を自動生成することに取り組んだ。結果、利用者の行動履歴を高い精度で記録することができることを確認した。また、実用化に向けた必要な分析機能の検討に向けて、一定期間ごとの利用者の行動を分析し統計的にまとめた結果を施設職員と共有した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
施設職員が同じ支援手順で施設利用者に関わるためには施設利用者の問題行動を定量化し記録する必要がある。問題行動の定量化とは「いつ、どこで、誰が、どのような問題行動を生じたのか」という事例を記録することであり、これらの情報を元に施設利用者への支援方法を決定する。そこで、１）利用者の行動の定量的な記録、２）記録された行動を分析することによる問題行動の把握、３）施設利用者や職員にとって有効なインタフェースの実現、を職員サポートシステムを実現する上での課題として挙げている。
令和2年度は、主に１）利用者の行動の定量的な記録、２）記録された行動を分析することによる問題行動の把握に取り組んだ。
１）利用者の行動の定量的な記録に関しては、BLEビーコンによる推定位置精度を高めるための取り組みとして人体の影響の軽減について取り組んだ。結果、推定位置の誤差を40%程度軽減することができた。また、BLEビーコンにより取得された情報は誤差を含んでおり安定せず、更に受信機で囲まれた範囲内しか推定できない。しかし、目視で確認すると推定位置の時系列傾向に滞在場所の傾向が確認できる。そこで、安定しないBLEビーコンからの信号の受信信号強度や受信信号数を元に受信機で囲まれた範囲外を含んだ滞在場所を推定することを試みた。結果、高い精度で目視の結果と一致することが確認でき、利用者の行動の定量的な記録が可能だということがわかった。
２）記録された行動の分析に関しては、取得した滞在場所を元にトイレの回数や時間の傾向、外出の傾向、施設内の居室以外の活動時間の傾向等を分析し、施設職員との共有を行った。早朝にトイレにいく傾向が高いこと、コロナ過の影響もあり居室以外の活動時間が短いことがわかったが、大きな問題行動は見られず、どのような分析が必要となるかについては今後の課題となっている。
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| 今後の研究の推進方策 |
１）利用者の行動の定量的な記録、２）記録された行動を分析することによる問題行動の把握、３）施設利用者や職員にとって有効なインタフェースの実現、を職員サポートシステムを実現する上での課題として挙げている。
１）利用者の行動の定量的な記録に関しては、人体の影響の軽減、および、安定しないBLEビーコンからの信号の受信信号強度や受信信号数を元に受信機で囲まれた範囲外を含んだ滞在場所を推定することを試み、その結果、高い精度で目視の結果と一致することが確認できた。しかし、対象施設内での対象場所に特化した手法となっており、一般化できておらず、本対象施設以外で有効か検証できていない。このため、どのような対象場所であれば、どのような推定方法が有効かを検証することが令和3年度の課題として挙げられる。
２）記録された行動の分析に関しては、種々の分析結果の施設職員への提示を行った。しかし、大きな問題行動は見られず、どのような分析が必要となるかについては今後の課題となっている。そこで、月ごとの変化の分析や、曜日ごとの変化の分析などを試み、問題行動の発見に有効に働きそうな分析方法を模索する。３）施設利用者や職員にとって有効なインタフェースの実現については、有効な分析方法の結果に提示に関わる部分であり、その後の課題として設定する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
発表経費として旅費を計上していたが、オンライン開催となり、旅費の計上が抑えられたため。次年度以降の研究成果発表を積極的に行う。
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