研究課題/領域番号 |
20K12079
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
原 直 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 助教 (50402467)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サウンドスケープ / 地域特性 / 可視化 / 音響シーン分類 |
研究実績の概要 |
課題2に関連して,比較的単純な機械学習による方式を用いて,地域特性の推定をするための基盤づくりを行った.シンプルなロジスティック回帰モデルによる地域特性の推定実験を行ってきた.推定精度としては十分ではないが,推定すべきラベルの再検討や今後必要となるデータ量などについての知見が得られた. また,次年度以降に予定していたドメインの転用に向けた基礎的な検討も進めている.具体的には,Concept driftの発生を念頭に入れた音響シーン分類の基礎研究を進めており,IEEE-TENCONにて研究発表を行った. 課題3に関連して,地域特性のパラメータ化を検討した.ISO12913等の規格にも見られるサウンドスケープとしての考え方を取り入れるための検討を重ねていった.これまでに収録されていた音響データの一部に対して,新たなラベルを付与した. 具体的には,音源の種類(自然・機械・人・その他)を推定の補助情報ラベルとして付与した.そして,ISO12913のperceived affective qualityとして知られる,8種の尺度を,地域特性を示すラベルとして付与した.これらの情報を用いて,課題2を進めている.現在は,1名による予備実験程度となっているため,今後人数を増やした実験へと発展させていきたい. また,本研究課題の基盤となる,地理情報を扱う方式の基礎研究として,GPSデータの蓄積から日常生活上の重要なエリアを推定するための研究を進めており,DICOMOにおける研究発表も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1については,COVID-19の状況下のために,データ収録やアノテーションの見込みが立っていない.そのため,その前段階であるアプリ開発についても,現時点では後回しとしている.最終年度に計画している実証実験の実施も含めて,次年度以降の取り組みとして,引き続き開発と研究を進めていきたい. 課題2については,シンプルな機械学習による方法のみではあるが,取り組みは進めており,このまま継続して研究を進めていく. 課題3としての検討は,おおむね達成できている.加えて,計画時には検討していなかった観点として,サウンドスケープによる考え方を取り入れた.これにより,当初計画とはやや異なる観点を加えた,より興味深い研究につながると考えている. 以上より,個別にやや遅れている課題もあるが,その他の課題での進展を加味して,おおむね順調である,と考える.
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今後の研究の推進方策 |
課題1,および,最終的な評価実験については,今後の状況を踏まえて,計画変更も視野に入れて進めていく. ただし現時点では,すべての課題を進めていくことを目標としており,そのために前倒しで実施できる課題は優先的に進めていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で多くの国際会議・国内会議がオンライン化している.一部オンライン会議参加のための機材導入などにも利用しているが,残金は大きくなっている. 今後の会議開催動向もにらみつつ,現時点でやや不足しているデータ収集やラベル付け作業のための人件費としての利用も検討していきたい.
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