研究課題/領域番号 |
20K12081
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
石川 博 東京都立大学, システムデザイン学部, 特別先導教授 (60326014)
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研究分担者 |
廣田 雅春 岡山理科大学, 総合情報学部, 講師 (70750628)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ビッグデータ / データモデル / 仮説生成方法 / 説明基盤 |
研究実績の概要 |
(A) 仮説生成方法論の体系化.(A1) 統合的データモデルの提案: 一般にデータモデルは基本となるデータ構造とそれに対する操作からなる.ソーシャルビッグデータ応用はデータ構造として,集合の集まりを基本とするデータマイニングと集合を基本とするデータ管理とからなるハイブリッドなエコシステムである.そこで両者を統一的に表現するデータ構造として集合族を導入した.次に集合族を入出力とし,データマイニング操作と集合族固有操作(縮退形であるデータ集合操作を含む)からなる基本操作を提案した.本研究ではソーシャルビッグデータ応用における仮説生成手順全体の記述のためにハイブリッドなエコシステムを纏めて記述・説明できるデータモデルを提案した. (A2)仮説生成方法論の構築: このデータモデルアプローチに従って,複数データソースを統合的に利用して仮説を生み出す方法論として以下のような一般化差分法を提案した.本研究では複数の分野で独立に発展してきた差分方式の体系化を目指し, ITによる具体化を行う.提案する差分法はどのような空間の差分を対象にするかで以下のように分類できる.(ケース1)時系列データの異なる時点におけるデータの差分,(ケース2)同一の空間データの異なる時点における差分,(ケース3)実空間ではなく概念空間における概念データを対象とした差分,(ケース4)仮説間における差分 (B) 統合的説明基盤の構築.JAXAの協力を得て行った月震の分類研究において地震波のどの周波数帯が分類結果に寄与するかを可視化することを通して,ミクロな説明機能の検討を行った. (C) ユースケースの収集と基盤技術の検証.科学と社会インフラ,モビリティ,観光などの複数のケースを取集し,データモデルアプローチを用いて記述できることを確認した. 成果は5篇の学術誌論文,8篇の国際会議論文,10件の口頭発表につながった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各項目について提案もしくは検討に着手することができた.具体的にはデータモデルの提案,仮説生成方法論の提案,説明基盤の検討を行った.さらに提案・検討結果を,収集したユースケースへ適用することができた.また研究成果は5篇の学術誌論文,8篇の国際会議論文,10件の口頭発表になった. さらにJAXAと行った宇宙探査ビッグデータを用いた仮説生成手法に関する研究成果によって令和3年度文部科学大臣表彰(科学技術賞)を受賞することができた.
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今後の研究の推進方策 |
(A)仮説生成方法論の体系化.(A1) 統合的データモデルの洗練化を,多様な応用をもとに行う.(A2)仮説生成方法論を,より多様な応用をカバーできるように体系化を図る. (B)統合的説明基盤の構築.(B1)ミクロな説明機能を,非負値行列因子分解など特定の方式をもとにして開発していく.(B2)マクロな説明機能を,データモデルを用いて再現性を保証することを念頭にして開発する. (C)ユースケースの収集と基盤技術の検証を引き続き行う. 研究成果は著書や論文として積極的に発表していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延のために研究成果を海外で発表することができなかったために,関連する費用が発生しなかったため. 海外渡航が可能になり次第,国際会議への参加・発表を行い,関連費用として使用する.
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