研究課題/領域番号 |
20K12083
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
吉田 大介 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00555344)
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研究分担者 |
川合 忠雄 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (20177637)
瀧澤 重志 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (40304133)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 深層学習 / Webシステム / ドローン / ひび割れ検知 |
研究実績の概要 |
本研究者らはドローンで撮影する空撮画像を、深層学習を活用した検知プログラムにより自動的にひび割れ箇所を検知するWebシステムの研究開発を、地方自治体(特に、大阪港湾局)と連携して進めている。 2021年度の実績として、大阪港湾局が管理する複数の現場(特に、岸壁エプロンのひび割れが多く見られる現場を選定)にて計測実験を実施した。計測に使用する機体には、一般的な小型ドローンと、比較検証のためにフルサイズセンサーカメラを搭載した大型の産業用ドローンを用いて比較検証を行った。検証では1mmから数cmのひび割れが多数存在する箇所を検証エリアとして設定し、飛行高度別(5m、10m、15m、20m、25m)に撮影した空撮画像を用いて、開発中の検知プログラムの定量評価を実施した(飛行高度が低ければ分解能が高い画像が得られるが、計測作業に時間がかかることや、現場によっては電柱などの高い構造物により自動飛行がおこなえない場合がある)。その結果、6K画像が撮影可能な小型ドローンを用いることで、飛行高度10mにおいて2mm以上のひび割れを検知することが可能ということが明らかになった。ただし、現状では検知性能を優先して開発している影響で誤検知も多い。今後、誤検知を減らしつつ、1mm程度のひび割れを検知できるよう研究を進める予定である。 Webシステム関係の開発では、ひび割れの検知処理をWeb画面から実行できるインターフェースについてすでに開発を始めている。検知処理を実行するだけでなく、検知結果をわかりやすく可視化できる機能を実装したWebシステムの構築を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は緊急事態宣言が発令されたことで研究活動が制限され、野外調査等の作業が予定より遅れたが、今年度は野外調査やシステム開発などを効率よく進められたため、ある程度の遅れを取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は大阪港湾局から大阪府営の現場を提供いただいたが、今後は大阪市の現場も合わせて提供いただく予定である。実験現場を増やし、検知プログラムの精度向上や性能検証などを進めていく。また、昨年度に引き続き、大阪港湾局から複数人の研究員を受け入れ、この研究員らと協働して研究を進め、実用的な成果に結びつけていく。これまでの活動において、研究員とのコミュニケーションツールにSlackを活用し、スムーズな情報共有が行えたため、引き続きこのような情報ツールを積極的に活用していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により緊急事態宣言が発出され、国内出張や研究補佐員の雇用などが大きく制限されたため、それらの予算が繰越となった。次年度の研究費の使用計画としては、開発しているシステムの検知性能を向上させるために、深層学習のデータ処理用として、コンピュータ部品の購入費用を予定している。
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