研究課題/領域番号 |
20K12090
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
高橋 弘毅 東京都市大学, その他部局等, 教授 (40419693)
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研究分担者 |
八代 一浩 山梨県立大学, 国際政策学部, 教授 (30312177)
水落 芳明 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40510053)
大前 佑斗 日本大学, 生産工学部, 助教 (00781874)
大島 崇行 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60824224)
榊原 範久 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50824231)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ポートフォリオ / CSCLシステム / アクティブラーニング / 人工知能・機械学習 / 遠隔授業 |
研究実績の概要 |
本研究では、遠隔アクティブラーニング(遠隔協調学習)支援システムとして、ワーキング・ポートフォリオに着目し、ワーキング・ポートフォリオ上で相互閲覧を行う様子(いつ、誰が、誰のポートフォリオを何秒見たか、など)を定量化し、人工知能(AI)により、その情報を抽出・解析し、可視化した情報を教師にフィードバックするシステムの開発を進めている。教師にフィードバックする情報として、学習者の「相互閲覧状況(学習方略)」と「目標到達度の予測」が有用であると考え、AIの開発と実現可能性の検証を進めている。 本年度は、システム・AI開発チームにおいては、開発を進めているAIをワーキング・ポートフォリオシステムであるedulogシステムに実装・拡張した。そのためにedulogシステムを機能拡張し、学習者の相互閲覧状況を学習履歴として記録できるようにした。次に、edulogで記録した、自ら生成した学習記録をどれくらい閲覧したかに関する指標(自己閲覧総時間)、および、他者が生成した学習記録をどれくらい閲覧したか(他者閲覧総時間)を入力して、サポートベクターマシンを用いて、学習記録の閲覧時間が目標達成度に影響しているという仮定のもと、まずシンプルに、学習者別の授業終了時の目標達成度を推定するモデルを構築・評価した。 また、授業開発チームにおいては、新型コロナウィルス感染状況を見極めつつ、遠隔教育を行う前に、教室内でシステムを稼働させ模擬授業を実施した。この結果を評価し、AIやシステムの改善を行った。 一方で、新型コロナウィルス感染状況の対策のため、研究協力チームでは、遠隔アクティブラーニングの授業を行う機会が多くあり、それを利用して様々な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績に記載の通り、遠隔アクティブラーニング(遠隔協調学習)支援システムの開発は順調に進んでいると判断している。 一方で、新型コロナウィルスの影響により、研究協力チームで行う予定であった、開発したシステムであるedutab・edulogを用いての小中学校におけるアクティブラーニングの授業を様々な学年や教科で行いAIの学習データの蓄積を行うことが難しい状況にあった。しかし、遠隔アクティブラーニングの授業を行う機会が多くあり、その授業のためのシステム・授業モデルの構築・評価を、前倒しで行うことができたため、本研究課題の進捗状況としては、概ね順調に進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、システム・AI開発チームにおいては、AIの推定精度の向上を目指していく。AIの推定精度を向上させるには、有効な入力情報を増加させること、教師データを拡充させること、より良いAIのモデルを選択すること、この3点が重要である。学習者の閲覧行動は多様であることから、現在使用している入力のみではその多様性が包括された定量的表現には限界がある。そのため、学習者の多様な状態を表現可能な入力(特徴量)を検討・採用することで、推定モデルの性能向上を目指していく。 さらに、授業開発チームにおいては、AIが支援する遠隔アクティブラーニング授業モデルコンテンツの開発を引き続き行う。具体的には、教室の空間設計や、それぞれの教師の役割などをモデル化する。次に、この検討したモデルに従って模擬授業を行い、その結果を評価し改善を行う。改善したモデルを使って遠隔ALが成立する授業を開発し、実験授業で評価していく。 また、研究協力チームにおいては、開発チームで作成したシステムを実際の教室内で継続的に活用し評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染状況により、大規模な実証実験への取り組みが困難であったため、次年度以降に計画をしている。
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