研究課題/領域番号 |
20K12091
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
吉川 雅修 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70200962)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学習分析 / e-Learning / 品質機能展開 / 学修ナビゲーション / 教育の質保証 |
研究実績の概要 |
大学の教育プログラムを対象にした学生個別の学習支援と,学生集団の状況把握とを可能にする情報システムの構築に向けて,先行の研究課題「17K00480 学修マップ構築システムによる自発的学びの支援」の成果との連携および総合的な理論的な発展を行った. 理論面では,3つのサブテーマについて基礎的な検討を行った.(a)学生の個別情報を主にした「学修マップ」と学生の集団データとを統合して学習活動の支援に使うことを品質機能展開手法により検討した.(b)学生が特に単位習得のために焦点を当てる重点科目について学習支援を行う方法をナビゲーションと位置付けて検討し,同時に履修する科目群の学習活動の要因については総学習時間として簡略化したモデルで構成することを第一段階とした.(c)学生と教員,双方の要求を満たす情報提供システムの仕様を検討する. 実装面では,ネットワーク型授業によりコミュニケーションに制限がある学習環境で,授業担当者の後押しが少ない状況でも学習者が学習支援システムを充分に活用できる環境を実現するため,大学生の身近にあるSNSのサービスに学習支援システムとの情報交換の一部を載せることでの利用促進を考案した提案と試作とを行い,先行の研究課題の成果とも連結する学習支援システムとして教育工学会において1件の研究発表を行った. 学習分析の面では,学修のナビゲーションにおける学習マップの持つ情報を適応的に増強あるいは整理していくためのデータマイニングの形態について考察を行った.また,個人の特性情報を反映するために入学時のプレイスメントテストの分析結果を利用することについて試行を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学習者集団を特徴づける指標情報の理論構成で学習者間の協働学習環境を想定していたが,社会状況による授業オンライン化や実験・実習・演習授業中の対話制限という授業環境への対応により再構成が必要となったために構築が十分に進まなかった. 学習支援システムの機能的な試作およびその研究室内での試行試験は行ったが,一般の学習者が使用した場合の試験は機能利用に対する思考実験の範囲に留まった.
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今後の研究の推進方策 |
全体的な理論的構築を確認するため,機能の実装と試験を行い,理論へのフィードバックによる改善や精緻化を行う. 大学のカリキュラム情報を学習支援システムに適応的に反映させる拡張を行う. 理論構築とシステム開発の両面において活用した品質機能展開の視点で研究構成の包括的な評価を行い,国際学会等での研究報告を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の実装の為に人工知能プラットフォームを内蔵したワークステーションの導入を計画していたが,データ規模と処理内容に適合するシステムが予算内で見つからなかったために導入を延期して次年度配分額と合算しての購入を計画したために次年度使用額が生じた.
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