研究課題/領域番号 |
20K12104
|
研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 和彦 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90344548)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 協調型学習支援システム / eラーニングシステム / 不安定ネットワーク / 発展途上国 / 教育工学 |
研究実績の概要 |
本研究はネパール山間部の学校をターゲットとし,都市部との教育格差解消のためにe-Learningの有効性に着目している。しかし,同地域は通信インフラ環境が脆弱で不安定であり,また雨季の落雷などや乾季の電力不足などもあり常に安定した通信環境が求められるe-Learningを十分に活用できない課題を抱えている。これに対して,我々は①学校ごとの稼動独立性を向上させることと、②ネットワークを介した学校間協調学習環境の環境全体としての稼動可能時間を可視化することの2つを新たな目的とし研究を進めている。本年度は,2020年度から進めている新規学校へのユニットの設置時においての、初期設定の自動化の機構の実装を継続して進めた。一方で、各学校に設置するユニット機器が開発してから年数がたち、経年劣化のため故障が多々見られたため,新たな機器を購入しての機器更新を進めた。機器の更新は問題なく進められたが、昨年度に続き、ネパール現地に開発したノード群を持参しての現地環境下での実験は、渡航の目処が立たず停滞している。同様に、現地実験に合わせ予定していた,現地の学校で実際に利用実験を行うための学習コンテンツの作成についても、現地の学校の教員との遠隔によるディスカッションが難航している。本報告時点で、次年度は渡航の目処を建てられそうな予測もあり,これらについては,次年度においてできる限り早期に現地に赴いての現地実験を行いたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
経年で劣化が見られたユニット機器の更新作業を行った。更新自体は問題なく完了し、昨年度追加したノードの新規導入時の処理の自動化についても新規ユニット機器でも問題なく動作することを確認した。しかし、本研究課題において主軸としている、開発した機器を用いての現地実験は昨年度に引き続き、渡航の目処が立たず停滞している。また、経年により現地のサーバ基地に設置し遠隔実験に用いているユニットが活動を停止しているため、早期に現地に赴いて新たな機器への交換と、それを用いた現地実験などを行う必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
渡航が可能になり次第、現地での実験を進める予定である。昨年度、うまく進めることのできなかった現地との遠隔ミーティングを実現し,聞き取りなどにより,現地の学校で利用する学習コンテンツについて検討を行い,現地実験までに試作を完了する計画で進める予定である。また、ネパールの学校間のみならず、データベース共有を行う範囲を日本の学校にも広げ、日本とネパール間の学校間の協調学習環境の実現を視野に入れ、それに必要な機能の洗い出しを行う。これまでの研究の過程で調査したネパール現地の教育事情と、日本の小中学校での教育事情から両国の間でのコミュニケーションを主体とした協調学習のモデルを提案し、それに基づいたeラーニング教材や追加の機能について検討を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ネパールに赴いての現地実験を予定したがコロナ禍で渡航が実現できなかっため、旅費として計上していた予算を使用できなかったため、次年度使用額が生じた。渡航可能となった時点で早期に現地に赴いての実験を予定しており、それにより使用する計画である。
|