本研究では,学習者が簡単な通信実験においてネットワークの動作を観測・分析するための通信実験ツールスイートの開発を目指す.本年度は,学習者の通信実験をスムーズに行えるようにするため,学習者が自身の状況をAIと相談しやすくしたり,教師が学習者の状況を把握したりする補助機能の研究を進めた. 1)ネットワーク演習システムにおける受講者とChatGPTとの対話機能の開発:まず,ChatGPTとの対話を通して,ChatGPTがコンピュータネットワークの管理について具体的な実装例を交えて助言できることを確認した.これにより,ネットワーク演習において,ChatGPTが教師やTAの代わりに受講者のネットワークトラブルを解決することが期待される.想定するネットワーク演習では,受講者は仮想マシンをノードとする仮想的なネットワークにて様々な通信実験を行う.このため,ネットワークの構成情報を収集し,カスタムYANGモデルに基づいて記述してChatGPTに伝達する方法と,受講者とChatGPTとの対話のためのユーザインタフェースを開発した. 2)ネットワーク構築演習におけるルータ監視システムの開発:ネットワーク構築演習において,複数人の学習者が共同で構築を行うケースでは,特にルータへコンソール接続しコマンドライン操作により設定を行う.この際,教員は学習者の進捗管理のため,ルータ設定内容の変化やネットワークトポロジーの変化を把握したいと考える.このため,次の特徴を持つルータ監視システムを開発した.特徴1)ルータ設定状態のスナップショット,コマンド入力ログ,ルータによる出力ログを外付け端末で収集する.特徴2)ルータのログに基づきネットワークトポロジーを推定する.
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