本研究では,課題の構造を明らかにし,構造間の差異を表した課題間ネットワークの構築と,課題間ネットワークを利用した学習支援システムの改良が目的であった.令和4年度は,証明問題解決支援システム,プログラミング学習支援システムともに,システムの改良が進み,高専生を対象とした利用実験を行った. 利用実験の結果,証明問題解決支援システムでは,証明文が持つ構造の正誤を判断することができるようになっていることが示唆された.また,システム利用状況から,証明構造が複雑になることで,正解を導き出すまでに時間がかかったのか,問題文から何を証明してよいかわからずに,当てずっぽうで正解にたどり着くのに時間ががかったのか,不正解率の高い問題についての分析については,今後必要であることが分かった. 一方,プログラミング学習支援システムでは,システムの利用状況から,日本語でのプログラミング段階での間違いがC言語でのプログラミング段階での間違いより多いことが分かった.このことから,「思考言語でアルゴリズムを組む段階」と「プログラミング言語に置き換える段階」は分けられているが,学習者が躓く原因のひとつには,この2つの段階を同時に行おうとしてしまうことが挙げられる.しかし,本システムを用いることで,自然に2つの段階に分けて考えられるようになり,日本語からC言語へのプログラム変換に対する抵抗を軽減させることができたのだと推測できた.
|