研究課題/領域番号 |
20K12121
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
池田 心 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80362416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 価値観推定 / 楽しませるAI / コンテンツ生成 / 囲碁 / ガイスター / スーパーマリオ |
研究実績の概要 |
本研究では,3年間を通じて,スーパーマリオ,テトリス,囲碁,ガイスター,ターン制RPGの特徴の異なる複数のゲームに対して,(1)プレイヤの行動からその弱みや価値観,着手の意図を推定する技術を確立すること,(2)相手としてプレイする・仲間としてプレイする・指導する・問題を作るという4つの機能を,(1)で得られた弱みや価値観や意図を尊重することで改善することを目指している. 初年度は,まず囲碁において「相手として序盤から終盤までうまく手加減する」「上達支援のために複数の棋風を演出する」という部分において大きな成果が得られ,これは論文として発表している.囲碁については,「どのようなときに人間プレイヤは楽しいと思うか」についても成果が得られているが,こちらは共同研究の関係で論文発表を控えている. スーパーマリオについては,2つの異なる試みを行った.一つは,人間の挙動をモデル化し,未知のステージに対してもその人間がプレイするように行動する手法である.これは国際会議論文として発表したうえで,深化を続けている.もう一つは,ステージの好ましさを評価関数として定義できた場合に,それがある程度高いかつ多様なステージを生成する強化学習である.こちらはジャーナル論文を投稿済である. 最後に,ガイスターの「詰めガイスター問題」については,その面白さや難しさを推定するための教師あり学習を行うシステム,および,それを用いて面白い問題を高速に生成するためのアルゴリズムを検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画の中では,初年度は囲碁における着手の意図推定と,ガイスター・テトリスにおける問題生成を重点的に行う予定であったが,共同研究が新しく始まって囲碁のプログラムを実際にサービスできる可能性が高まり,そのためには意図推定よりもまず手加減と棋風演出が最も重要と考えられたため,テーマを予定とは変更した.結果的に論文発表にもつながっているが,意図推定について遅れている点は懸念事項である. ガイスターの価値観推定や問題生成については,2021年4月時点での論文発表には至っていないが,データ取りと執筆を概ね終え,投稿の手前にある.スーパーマリオの進捗などもあり,全体としては概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
囲碁・将棋または別のゲームについての,意図推定は急ぎ行いたいと考えている.これは独立した研究としても重要であるが,この結果が,教育するAIなどのためにも必須の要素となっているためである.例えば,プレイヤがある意図である悪い着手をしたとき,それが「意図は適切であるが,具体的手段として悪い」のか,「その意図としては適切な着手であるが,その意図自体が不急であった」のか,によって指導内容は大きく異なる.手法自体はすでに検討を進めていて,あとはチームとしてのエフォートをうまく配分することで,2021年度半ばには成果を得たい.そのうえで,複数のゲームにおいて,相手や仲間や教師としてのゲームAIを並列で発展させていくことを計画している.
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