研究課題/領域番号 |
20K12147
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
國頭 恭 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (90304659)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 黒ボク土 / 褐色森林土 / 窒素添加 / 可給態リン / 植物リター |
研究実績の概要 |
森林土壌3点(褐色森林土2点と黒ボク土1点)に、土壌を採取した地点で採取した植物リターを添加し、窒素を添加した区と、加えない対照区を設けた。水分量を最大容水量の60%に維持し、1年間、23℃で培養した。培養0、50、250、365日目に逐次抽出法を用いリン濃度を測定した。NaHCO3画分の無機態リンは、スギリターを添加した褐色森林土では有意に低下したが、他の2土壌では有意に増加した。NaHCO3画分の有機態リンは、スギリターを添加した褐色森林土では有意に増加したが、アカマツリターを添加した褐色森林土では有意に低下した。NaOH抽出画分では、無機態リンと有機態リンの両方において、窒素添加の有意な影響は認められなかった。窒素添加により微生物のリン要求量が増加し、可給態リン濃度が低下して微生物はリン欠乏の状態になる、という仮説に一致する土壌もあったものの、概して仮説を支持する結果は得られなかった。 また培養365日目に微生物バイオマス炭素を測定した。スギリターを添加した褐色森林土では、窒素添加区で微生物バイオマス炭素が対照区よりも有意に増加した。アカマツリターを添加した褐色森林土では、窒素添加区で、対照区よりも微生物バイオマス炭素が低値を示したが、有意な差ではなかった。カラマツ・ヒメコマツ・ヤマブドウリターを加えた黒ボク土では、微生物バイオマス炭素に対する窒素添加の影響は認められなかった。このため、窒素添加により微生物バイオマス炭素が低下するという仮説は、1土壌でのみ一致したが、他の土壌では支持されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の遅れを取り戻し、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はリグニン分解酵素活性を測定し、結果を総合的に解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度にコロナ禍で研究があまり行えず、2020年度の研究費の多くが2021年度に繰り越されたため。
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