研究課題/領域番号 |
20K12156
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
藤田 実季子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究プログラム), 副主任研究員 (50426293)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トモグラフィー解析 / 水蒸気トモグラフィー |
研究実績の概要 |
本研究では水蒸気の連続観測を可能とするGNSS衛星(衛星測位システム)を用いた、新たな水蒸気トモグラフィー手法の開発を実施している。近年、気温上昇に伴う降水の極端化が懸念されているが、降水組織の構造を知る上で重要な水蒸気の鉛直構造を連続的に観測する手段は未だ確立されていない。本開発で気候変動に伴う水蒸気の鉛直構造の監視を目指している。
当該年度では、昨年度に引き続き、水蒸気の鉛直構造を水蒸気量の積分値に相当する値から逆解析する、解析モジュールの開発を実施した。解析のコア部である解析手法について、解析空間上のGNSS搬送波が通過したグリッドの定義を、通過点と周辺グリッドの距離で重み付けした関数を実装した。さらに鉛直方向の重み付け関数を統計的手法により推定した。気象モデルデータで擬似的に作成した観測データを用い、これらの関数を逆解析に適応したところ、先行研究で利用されている関数よりも今回開発した関数を用いた方が、推定精度が格段に向上する傾向にあった。
またこれらのモジュールを実行する計算機環境の整備も事前に実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、計算機環境の整備が完了し、解析のコア部にあたるモジュール開発の目処がついた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に開発した解析手法を用い統計的な評価を実施する。推定精度を向上させる部分があれば実装し改良を試みる。さらに実観測データの適用を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
逆解析用のサーバは開発されたコードの計算コストを見積った上でスペックを決定した方が効率的であったこと、また新型コロナウイルスの影響でサーバ調達に制限があったことから差額が生じた。次年度以降は統計的な検定が必要となるため、ストレージを中心とした機器の調達をする予定である。
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