研究課題
基盤研究(C)
皮膚表皮に存在するメラニン色素は強力な環境ゲノム毒性因子である紫外線から皮膚を防護しているが、メラニン合成異常が逆に紫外線毒性を増強する例も指摘されている。メラニンが関わる紫外線皮膚ゲノム毒性の防護や増強機構の研究は試験管内実験系では限界があり、本研究によりメラニンの皮膚ゲノムに対する防護機能や毒性機構を生体皮膚で直接解析できる解析系をマウスで開発した。これを用い突然変異を指標に正常メラニンの防護能を定量的に明らかし、メラニン合成異常の紫外線皮膚ゲノム毒性に対する影響を評価した。
紫外線生物学
スキンタイプで示されるようにメラニン変異による皮膚色の多様性が紫外線感受性に影響している。ケルト系人種の「赤毛」に限らず、メラニン代謝系遺伝子変異は人種間・個人間の皮膚色の違いを生み出しており、日本人でも多様な遺伝子多型が知られ、紫外線感受性・皮膚がんリスクとの強い相関が報告されている。これを実験的に証明できる解析系を開発するところに本研究の学術的意義である。開発した系を利用することによりメラニンの多様性と紫外線感受性の相関関係を定量的に評価できるようになる点に社会的意義がある。