細胞を加熱することによって生じるヒストンタンパク質H2A-H2Bの二次構造変化を放射光円二色性(CD)分光により調べた。45あるいは60℃で加熱した細胞から抽出したH2A-H2BのCDスペクトルは、非加熱細胞由来のH2A-H2Bあるいはそれを直接加熱した場合のCDスペクトルとは異なった。これは、細胞内で通常の熱変性とは異なる構造変化がH2A-H2Bに生じたことを示す。コメットアッセイにより細胞加熱によるDNA損傷量を調べたところ、変化した構造の持続時間と相関が見られた。このことから、H2A-H2Bの構造変化はDNA損傷に応答する何らかの細胞機能によって生じている可能性が考えられる。
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