研究実績の概要 |
本研究は、タンパク質結合パースルフィドもしくはポリスルフィド(P-SSH/-SSnH)への親電子修飾は可逆的であるか示し、毒性学および予防医学において活性イオウ分子の重要性を提示することを目的としている。環境中親電子物質として主に、1,4-ベンゾキノン (1,4-BQ)、1,2-ナフトキノン (1,2-NQ)、(E)-2-アルケナール類もしくはアクリルアミドに着目し、親電子物質の標的タンパク質として酸化ストレスのセンサータンパク質として知られるプロテインチロシン脱リン酸化酵素 (PTP) 1Bを用いること計画している。 R2年度は、1,4-BQ曝露によりPTP1Bに負に制御される上皮成長因子受容体 (EGFR)が活性化するか否か検討した。1,2-NQによるEGFRおよびその下流キナーゼであるERKのリン酸化が確認された条件を用いて、1,4-BQ (0-100 microM)を曝露したところ、EGFRおよびERKのリン酸化は認められなかった。また、1,2-NQで見られる影響がパースルフィドのモデル化合物である二硫化ナトリウム(Na2S2)存在下で変化するか検討した。その結果、1,2-NQ依存的なEGFRおよびERKのリン酸化および細胞毒性はNa2S2との同時曝露で抑制された。
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