研究課題/領域番号 |
20K12183
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
仲山 慶 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (80380286)
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研究分担者 |
北村 真一 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (40448379)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 免疫毒性 / RNA-seq / コイ / サルモニシダ / エストロゲン |
研究実績の概要 |
魚体重約5 gのコイにAeromonas salmonicidaを浸漬感染させ,1週間後に外観症状を確認した上で,頭腎,体腎,肝膵臓をそれぞれ採取した。サルモニシダ症を発症した個体においては,頭腎が肥大し,体腎が原型を留めないほどの重篤なダメージを受けていた。生殖腺の外観から雌雄を判別し,感染区(n = 4)と対照区(n = 3)ともに雄から採取した頭腎,体腎,肝膵臓をRNA-seqに供した。その結果,各サンプルから平均2千万リード(Q > 30)の良好な結果が得られた。得られた配列をコイのゲノム配列にマッピングし,発現変動遺伝子を抽出した。頭腎,体腎,肝膵臓の各臓器からそれぞれ69038,69650,59430の転写産物の発現が検出され,そのうち400,479,227の遺伝子の発現が有意に変動していた。これらの結果から,A. salmonicidaの感染によって,腎臓の機能が重篤な影響を受けていると推察された。このことは我々の先行研究で実施した組織学的観察の結果と矛盾しなかった。発現が変動していた遺伝子群のオントロジーから,サルモニシダ症を発症した個体においては液性免疫,とくに補体系の活性が抑制されていること,また,頭腎におけるヘモグロビン合成の抑制や肝膵臓における糖およびアミノ酸の代謝抑制が生じていることが推察された。これらの影響を裏付けるマーカーを測定することで,サルモニシダ症の重篤度の分類を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症対策によって,学内での活動時間が限定されるなど,研究の実施を妨げる要因が多数存在した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施した遺伝子発現変動解析の結果を受け,A. salmonicidaの感染によってコイの体腎の機能が損なわれていることが予想されたため,血液生化学検査等によってその仮説を検証する。得られた結果をマーカーとして,化学物質曝露下でのサルモニシダ症に対する宿主の感受性の変化を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において,当初予定していた学会発表がオンライン開催となり,旅費を使用しなかったため。これまでに得られた成果については,令和4年度に開催される学会にて成果を公開する。
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