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2022 年度 実施状況報告書

感染症の発症をエンドポイントとした魚類免疫毒性評価系の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K12183
研究機関愛媛大学

研究代表者

仲山 慶  愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (80380286)

研究分担者 北村 真一  愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (40448379)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード免疫毒性 / RNA-seq / コイ / サルモニシダ
研究実績の概要

体重約5 gのコイにA. salmonicidaを浸漬感染し,1週間後に外観症状を確認した上で,頭腎,体腎,肝膵臓をそれぞれ採取した。感染区(n = 4)と対照区(n = 3)ともに雄から採取した各臓器をRNA-seqに供し,得られたシーケンス結果に基づいて遺伝子発現解析を実施した。また,体腎への影響を評価するために,体重約7 gのコイにA. salmonicidaを感染し,感染3日後および7日後に左右の体腎を摘出し,片方を病理組織学的観察に,もう片方をA. salmonicidaの検出に用いた。
発症した個体においては,頭腎が肥大し,体腎に重篤な損傷が視認できた。RNA-seqの結果,頭腎,体腎,肝膵臓の各臓器からそれぞれ51626,55471,38780の転写産物の発現が検出され,そのうち1241,965,1393の発現量が有意に変動していた。発現量が減少した遺伝子を対象に遺伝子オントロジー(GO)解析を行ったところ,鉄イオンの恒常性維持(GO:0055072)をはじめとした最も多くのGO termが体腎で検出された。体腎の病理組織学的観察から,造血組織の壊死および炎症性細胞の浸潤,尿細管上皮細胞の混濁や壊死など明確な病変が確認され,GO解析の結果と矛盾しなかった。また,感染個体の体腎にA. salmonicidaが存在することが疑われた。以上の結果から,A. salmonicidaはコイの体腎の機能低下させることが予想され,腎機能の評価により発症の確認が可能であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナウイルス感染症対策によって,研究の実施を妨げる要因が複数存在した上,国際会議等での発表機会を持つことができなかったため。

今後の研究の推進方策

遺伝子発現解析の結果から,魚類の免疫系に深く関与する分子がA. salmonicida感染のマーカー候補として絞り込まれた。同マーカー候補分子の測定法の構築および感染個体におけるマーカー分子の応答を確認する。さらに,これまでの成果をまとめ,国際誌に投稿する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍において,当初予定していた学会への参加を断念せざるを得なくなり,旅費を使用しなかったため。これまで得られた成果については,国際誌に投稿して公開するため,その投稿準備費として使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Heavy oil exposure suppresses antiviral activities in Japanese flounder Paralichthys olivaceus infected with viral hemorrhagic septicemia virus (VHSV)2022

    • 著者名/発表者名
      Song Jun-Young、Kitamura Shin-Ichi、Oh Myung-Joo、Nakayama Kei
    • 雑誌名

      Fish & Shellfish Immunology

      巻: 124 ページ: 201~207

    • DOI

      10.1016/j.fsi.2022.03.046

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 非定型Aeromonas salmonicidaの感染がコイの体腎に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      藤田龍之助,仲山 慶,北村真一,安本信哉
    • 学会等名
      令和4年度日本魚病学会秋季大会
  • [学会発表] トランスクリプトミクスによるAeromonas salmonicida感染時のコイの生体応答解析2022

    • 著者名/発表者名
      藤田龍之助,北村真一,安本信哉,仲山 慶
    • 学会等名
      NGS EXPO 2022
  • [備考] 環境生体応答学

    • URL

      http://www.team-fische.com/bio/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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