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2023 年度 実施状況報告書

感染症の発症をエンドポイントとした魚類免疫毒性評価系の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K12183
研究機関愛媛大学

研究代表者

仲山 慶  愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (80380286)

研究分担者 北村 真一  三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (40448379)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード免疫毒性 / RNA-seq / コイ / サルモニシダ
研究実績の概要

前年度までに実施した遺伝子発現解析の結果から,サルモニシダ症を発症したコイの頭腎および体腎において,トリプトファンの異化に関わる代謝酵素群,とくにキヌレニン経路に関連する遺伝子群の発現が抑制されていることを明らかにした。この結果を裏付けるべく,コイにおけるトリプトファンおよびキヌレニンの濃度を測定することとし,まずはキヌレニンの分析法を検討した。高速アミノ酸分析計でのアミノ酸の一斉分析ではキヌレニンが分析対象に含まれていなかったため,その標準品を調製し,同分析計にて測定した。その結果,キヌレニンは他のアミノ酸のピークとは完全に分離されていたため,既存の分析法で同時に測定することが可能であることが確認できた。本手法でキヌレニンを測定する際の機器定量下限値は2.87 pmolであった。コイの稚魚における血しょう中キヌレニン濃度を測定したところ,その濃度範囲は3.2-7.7 uMであることがわかった。また,ハンドリングストレスを与えたコイの血しょう中キヌレニン濃度を測定したところ,ストレスの前後でキヌレニン濃度は変化しなかった。先行研究にて,ハンドリングストレスをうけたニジマスの脳および肝臓において,キヌレニンの濃度が上昇することが報告されており,急性ストレスに対するバイオマーカーとして提案されている。これらの結果から,ストレス負荷を受けた魚類において肝臓や脳などの臓器ではキヌレニン濃度の上昇がみられるが,血しょう中の濃度は変化しないと推察された。キヌレニン経路は脊椎動物で高度保存されているが,魚類におけるその機能的役割については十分に解明されていない。今後,サルモニシダ症発症と体内のキヌレニン濃度の変化との関係を解析する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナウイルス感染症対策によって,研究の実施を妨げる要因が複数存在した上,国際会議等での発表機会を持つことができなかったため。

今後の研究の推進方策

2023年度に確立した分析法を改変して,コイの組織中のキヌレニン濃度の測定法を確立する。さらに,サルモニシダ症を発症したコイの頭腎および体腎において生じたキヌレニン経路に関連する遺伝子群の発現変動と,キヌレニン濃度との関係を解析する。得られる結果から,魚類におけるキヌレニンの機能的役割を解明するための基礎的な知見を得るとともに,バイオマーカーとしての利用可能性について検討する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍において,当初予定していた学会への参加を断念せざるを得なくなり,旅費を使用しなかったため。これまで得られた成果については,国際誌に投稿して公開するため,その投稿準備費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Susceptibility of Common Carp to the New Ulcer Disease-Causing Atypical Aeromonas salmonicida is Temperature-Dependent, but Not Body Size-Dependent2024

    • 著者名/発表者名
      Nakayama Kei、Kitamura Shin-Ichi
    • 雑誌名

      Fish Pathology

      巻: 59 ページ: 29~32

    • DOI

      10.3147/jsfp.59.29

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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