女性の更年期症状を緩和する目的で、ホルモン補充療法が実施されているが、長期的に治療を継続することにより乳がんリスクが上昇するものと考えられている。われわれは、エストロゲンへの長期曝露によって生じる乳がんが、どのようなメカニズムで生成するのかを解析しており、生体内の脂質メディエーターであるリソホスファチジン酸(LPA)が関与する可能性を示唆する結果を得ている。さらにこの研究では、ゲノム編集技術や実験動物を用いて、LPAがエストロゲン誘発性乳がんの形成に一部関わっていることを示唆する結果を得た。したがって、LPAは将来、乳がんの治療標的となるかもしれない。
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