研究課題/領域番号 |
20K12188
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 特別研究員 (00258500)
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研究分担者 |
藤井 由希子 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (80733542)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 海藻 / 臭素化合物 |
研究実績の概要 |
東南アジアの海藻が生産する脂溶性の高いフェノール性臭素化合物(OH-BDE)が、日本国内の海産物にどのように分布しているかを調べるために、日本近海の甲殻類および魚介類を収集し分析した。残留性有機汚染物質(POPs)も同時に測定し、比較定量した。 ①甲殻類(小エビ:日本5地域、台湾、中国、ベトナム各1地域):POPsのうちパーフルオロアルキル化合物(PFAS)が日本近海のエビに高濃度で含まれ、エビがヒトのPFAS曝露源の一つと考えられた。塩素系農薬ではエンドスルファン濃度が高かった。これに対して、天然のOH-BDEはO-メチル化体として検出されたが、難燃剤PBDEと同レベルかそれ以下の濃度であった。 ②魚介類(マグロ:日本3地域):本マグロ(赤身)では、OH-BDEは、O-メチル化体 (2'-MeO-BDE68)として残留し、PBDEより高濃度で分布した。成分組成では地域差が大きく、POPsと異なる分布状況を示した。 以上の結果、甲殻類と魚類では、天然MeO-BDEとPOPsの残留特性に大きな違いがみられ、地域によって残留パターンが大きく異なることから、両者は異なる食物連鎖過程を経てヒトに曝露されていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東南アジアでのサンプル収集が困難になったため、これまでに収集保管している海藻について再分析を行っている。日本国内での海藻類は収穫期が地域によって異なるために時間を要し、データのとりまとめが遅れている。 抗菌活性に関するデータ取得、MeO-BDEなどの代謝(脱メチル化)に関する実験データのとりまとめが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)東南アジアから収集した海洋生物に加えて、日本国内での海藻、海産物の天然臭素化合物の分布、動態を調べる。 2)海産物中のOH-PBDEの過去20年間の経年変化による残留成分の推移に関するデータを取得する。 3)ヒト血清中のOH-BDEの組成、濃度を調べ、海藻/魚介類の成分パターンと比較し、食事経由でのヒト曝露評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒト血清の前処理とデータ処理が終了しなかったため、終了時期を延長した。本年度は、残った科研費を化学計測に使用する。
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