研究課題/領域番号 |
20K12189
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
堀端 克良 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 室長 (40402995)
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研究分担者 |
増村 健一 国立医薬品食品衛生研究所, 安全性予測評価部, 部長 (40291116)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遺伝子発現 / 転写 / 突然変異 / DNA修復 / 遺伝毒性 |
研究実績の概要 |
突然変異とDNA複製には密接な相関関係があり、細胞分裂がほとんど起きないサイレントな組織ではDNA複製の頻度も少なく、突然変異は生じにくいとされているが、実際にはそういったサイレントな組織・細胞でも突然変異やがんが生じる。DNA複製以外でDNAに直接影響を与える細胞内機能は遺伝情報発現とその中心的機構である転写であり、本研究ではサイレントな組織・細胞での突然変異発生メカニズムとして、"転写に関連した突然変異生成" (transcription-associated mutagenesis; TAM)に着目した解析を行う。今年度の実績として、転写誘導により生じた突然変異のスペクトラムを解析し、転写に関連した突然変異生成に特徴的な変異スペクトラムを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強い転写誘導により誘発される突然変異のスペクトラムを解析した。その結果、標的遺伝子上に転写を強く誘導すると、転写非誘導時と比較して特異的な変異スペクトルを示すことを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
概ね計画通り進んでいるので、引き続き"転写に関連した突然変異生成"に着目した解析を進める。また、当該研究で樹立した標的遺伝子が座位するファージベクターが安定的に導入されたTet誘導系の細胞は1種のみであり、その他の細胞種での解析が必要であるが、ファージベクターは長大であり、目的とする細胞に安定に導入された細胞株の樹立が困難となる可能性があるため、別途、プラスミドをベースとした転写に関連した新規の突然変異生成解析系の樹立を試みた。現時点で設計を完了しており、引き続きプラスミドをベースとした新規解析系の樹立を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19等により予定していた海外学会等に参画する機会が大幅に減少したため、当該助成金が生じた。これらは次年度に試薬等に有効利用し、研究の進展を図る。また、COVID-19による制限解除等を踏まえて、積極的に外部発表等を進める。
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