研究課題
放射線照射後におけるマウスの生殖細胞形成機構を明らかにするために、放射線照射後に変動した遺伝子に関しての研究を行なった。雄マウスに対して、総線量4Gyになるように、低線量率照射群は、7週齢の雄マウスに対して40日間100 mGy/dayのγ線照射を行い、高線量率照射群は、0.65 Gy/minのγ線照射し、解剖を行い精巣を摘出した。これまでの研究成果として、低線量率連続照射したマウス精巣においてグローバルなDNAメチル化パターンが変化していることを明らかにしているため、DNAメチル化に関与しているDNAメチル化酵素であるDNMT1、DNMT3A、DNMT3Bの遺伝子発現量の測定を行なった。その結果、低線量率照射群では、DNMT1の遺伝子発現量が有意に減少していることが判明した。一方、DNMT3A、DNMT3Bについては、放射線照射による有意な遺伝子変動は観察されなかった。そのため、DNMT1の遺伝子発現量の低下は、グローバルなDNAメチル化パターンに何らかの影響を及ぼしている可能性があると考えられる。昨年度取得したReduced Representation Bisulfite Sequencing法によるDNAメチル化データを用いてDNMT1の遺伝子について評価したところ、プロモーター領域だけでなくエクソン領域にもメチル化領域が存在しており、放射線照射による明確な違いは検出できなかった。しかしながら、ある領域においては、非照射群よりもシーケンスリード数が少ない領域が存在した。この領域が転写調節に関係するかどうかは検討が必要である。また、放射線汚染地域のフィールドモデルであるアカネズミのRNA-seqによるde novoアセンブルのデータを再解析し、ラボマウスの遺伝子情報と比較的できるか検討した。マウスで変動した遺伝子の配列決定および遺伝子解析が容易になると考えれる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
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