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2022 年度 実施状況報告書

河川における汚染化学物質の吸着除去を可能にする高分子複合体ゲルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K12194
研究機関横浜薬科大学

研究代表者

礒部 隆史  横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30440530)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードキトサン / アルギン酸 / 水質
研究実績の概要

化学物質は我々に様々な恩恵を与える一方で、発がん性、免疫系の異常、内分泌系へのかく乱作用など、ヒトを含む生態系に好ましくない影響も与えていることが明らかとなっております。工場や家庭から排出された化学物質を含む水は下水処理され河川へ放流されますが、全ての化学物質が除去される訳ではないため、ヒトの健康の保護及び水生生物の保護の観点から、公共用水域に関する要監視項目が定められております。要監視項目に挙げられている化学物質を河川から除去することは重要ですが、水に溶けている化学物質を河川から取り除くのは容易ではなく、完全に除去できていないのが現状です。そのため、本研究では、河川から汚染化学物質を吸着除去することを目的に、汚染化学物質の吸着が可能な高分子複合体ゲルの開発を検討しております。
本年度は、水質汚濁に係る環境基準のうち、人の健康の保護に関する環境基準項目の一つである亜硝酸態窒素の吸着除去法について検討を行いました。実用化した際の使用後の処理を考え、生分解性を有するキトサンをカチオン性高分子として選択し、有機酸と塩形成させ、その塩による亜硝酸態窒素の吸着実験を試みました。その結果、クエン酸、L-リンゴ酸、マロン酸などの有機酸とキトサンとの塩では亜硝酸態窒素の吸着と有機酸の放出が認められました。キトサン-有機酸塩の調製条件についても検討し、調製時の有機酸濃度が亜硝酸態窒素吸着能に影響を与えていることも明らかにしました。
また、有機酸と塩形成していないキトサンでも亜硝酸態窒素の吸着が観察されたため、キトサン-有機酸塩による亜硝酸態窒素の吸着は有機酸とのイオン交換反応だけによるものではなく、キトサンへの物理的な吸着も関与していることが明らかとなりました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和2年度と令和3年度に比べたら令和4年度はかなり改善されたものの、まだコロナ禍の影響があり、研究に対し十分な時間と労力を割くことができなかったために、全体で考えると予定よりも研究の進行が若干遅れております。

今後の研究の推進方策

令和5年度は、有機酸と塩形成させたキトサンをアルギン酸と静電相互作用により結合させることで、高分子複合体ゲルを調製し、亜硝酸態窒素の吸着ならびに有機酸の放出について検討を行います。さらに、河川を模倣した実験系における汚染化学物質の吸着能など性能評価を行い、これらの研究により得られた結果を取りまとめ、成果の報告を行います。

次年度使用額が生じた理由

令和2年度と令和3年度に比べたら令和4年度はかなり改善されたものの、まだコロナ禍の影響があり、研究に対し十分な時間と労力を割くことができなかったため、予定していただけの実験を行えず、消耗品の購入に充てる予定だった予算が残りました。次年度使用となった予算につきましては、次年度の実験を行う際に消耗品の購入に充てる予定です。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Regioselective glucuronidation of flavones at C5, C7, and C4´ positions in human liver and intestinal microsomes: comparison among apigenin, acacetin, and genkwanin.2022

    • 著者名/発表者名
      Hanioka N, Tanaka-Kagawa T, Mori Y, Ikushiro S, Jinno H, Ohkawara S, Isobe T.
    • 雑誌名

      Biol Pharm Bull.

      巻: 45 ページ: 1116-1123

    • DOI

      10.1248/bpb.b22-00160.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] キトサンを利用した亜硝酸態窒素除去材の開発2022

    • 著者名/発表者名
      望月 利央,赤嶺 ひかる,佐藤 春郁,髙橋 栄造,大河原 晋,越智 定幸,香川(田中) 聡子,神野 透人,埴岡 伸光,礒部 隆史
    • 学会等名
      第66回日本薬学会関東支部大会
  • [学会発表] 大腸がん細胞のグリコサミノグリカン産生に対するイソ吉草酸の影響2022

    • 著者名/発表者名
      奥山 いろは,久保寺 彩,礒部 隆史,埴岡 伸光,大河原 晋
    • 学会等名
      第66回日本薬学会関東支部大会
  • [学会発表] ビスフェノールAの肝臓および小腸ミクロゾームによるグルクロン酸抱合反応:ヒト、サル、イヌ、ラットおよびマウスにおける種差2022

    • 著者名/発表者名
      朝倉 満誠,関口 耀,堀内 浩紀,礒部 隆史,大河原 晋,神野 透人,香川(田中) 聡子,埴岡 伸光
    • 学会等名
      第66回日本薬学会関東支部大会

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公開日: 2023-12-25  

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