近年、遺伝子変異を伴わないエピジェネティクスが発がんに関連していることが明らかになってきた。 日本国内において大気粉塵を1週間連続して捕集し、1年間を春(3月、4月、5月)、夏(6月、7月、8月)、秋(9月、10月、11月)及び冬(12月、1月、2月)の四季に分けて粉塵濃度の平均値を算出した結果、最初の1年間に捕集した大気粉塵の粉塵濃度の平均値は春と冬が高く、夏と秋に低い傾向が認められた。夏に捕集した大気粉塵は多くの試料が秋と同程度かそれ以下の粉塵濃度であったが、一部の試料で粉塵濃度が急激に高くなる傾向が認められたことから、越境輸送など何らかのイベント発生が影響し粉塵濃度の急上昇が生じたと考えられた。次年度以降も捕集を続けた結果、秋に高くなる場合もあったが、大気粉塵の粉塵濃度の平均値は春に高く、夏、秋および冬に低い傾向が認められた。本研究開始当初のように夏や秋には粉塵濃度の上昇はそれ以降観測されず、夏や秋にイベントが発生しなかったことが示唆された。 本研究課題の開始当初から新型コロナウイルス感染症の蔓延によるオンライン講義動画の作成をはじめとした教育へのエフォートの急増並びに諸外国から輸入している研究試薬などの入手に滞りが生じるとともに屋内での実験研究活動の中止・遅延などにより大幅に研究が遅延したが、大気粉塵の捕集は屋外での活動のため制限を受けなかった。これにより得られた試料を基に種々のエピジェネティクス評価を実施していく予定である。
|