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2020 年度 実施状況報告書

水生植物(水草)の体系の違いに着目した感受性分布(SSD)に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K12198
研究機関国立研究開発法人国立環境研究所

研究代表者

山岸 隆博  国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (30379333)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード水生植物 / 生態毒性 / 種の感受性分布
研究実績の概要

水生植物(水草)は、魚類の産卵場所やその他多くの生物に生育場所を提供することから、水草が水域生態系に果たす役割は非常に大きい。さらに、日本に約500種生育すると言われている水草の中には絶滅危惧種も多数存在することから、影響が懸念される農薬や一般化学物質を対象とした生態リスク評価が必要である。多様な水草類全体を考慮した信頼性の高い評価のためには、種の感受性分布(SSD: Species Sensitivity Distribution)の解析などが必要である。一方で、水草類は植物体の一部が水中にあるものやそのほとんどが水中にあるものなど様々な体系を有するが、体系の違いはばく露量と密接に関連することから毒性値を大きく左右する。この水草の体系の違いは系統分類と一致しないことから、系統分類に基づいたSSD解析では水草類の感受性分布を正確に把握できない。
そこで、系統分類に基づく感受性分布と水草類の体系分類に基づく感受性分布との比較検証を行うことで、水草の感受性分布について総括することを目的に、今年度は、以下の異なる体系に属する複数の水草の収集と培養系の確立を試みた。
抽水植物に属するマコモ、ホムロイソウに関しては、日本に広く分布することから、自然から採集し、培養系を確立した。沈水植物のホザキノフサモに関しては、OECD TG238に準じた植物体長に基づく生長速度をエンドポイントとした試験法を用いることとした。マツモに関しては、観賞用として広く販売されているものを入手し、培養系を確立した。浮葉植物のカワツルモとヒルムシロに関しては、日本に広く分布することから、自然から採集し、培養系を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3年計画の初年度の到達目標は、水草の統分類に基づく感受性分布と水草類の体系分類に基づく感受性分布との比較検証実施に向けた、試験に用いる水草の収集と培養系の確立であり、現在まで、目標としていた数の水草の収集と培養系の確立を達成している。よって、本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

最終年度に実施予定である感受性分布(SSD)の解析に向けて、収集した水草について、以下の新たな生態毒性試験法を開発する。
抽水植物に関しては、植物体長に基づく生長速度をエンドポイントとした試験法を開発する。沈水植物に関しては、ホザキノフサモ を用いた試験法であるOECD TG238に準じた植物体長に基づく生長速度をエンドポイントとした試験法を確立する。浮葉植物に関しては、葉数と葉面積に基づく生長速度をエンドポイントとした試験法を開発する。浮水植物に関しては、コウキクサ を用いた試験法であるOECD TG221に準じた葉数および葉面積に基づく生長速度をエンドポイントとした試験法を開発する。浮遊植物に関しては、植物体長に基づく生長速度をエンドポイントとした試験法を開発する。

次年度使用額が生じた理由

残金が少額であり、購入可能な消耗品等がなかったため。

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公開日: 2021-12-27  

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