研究課題/領域番号 |
20K12200
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
米倉 哲志 埼玉県環境科学国際センター, 自然環境担当, 主任研究員 (40425658)
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研究分担者 |
王 効挙 埼玉県環境科学国際センター, 自然環境担当, 担当部長 (20415392)
山口 真弘 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (60736338)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オゾン / 作物 / リスク評価 / クリティカルレベル |
研究実績の概要 |
本研究では、比較的短期間で栽培する近郊野菜を対象にして、オゾン曝露試験を埼玉(埼玉県環境科学国際センター)と長崎(長崎大)で実施し、農作物に及ぼすオゾン影響評価モデルを構築し、オゾンの影響閾値(クリティカルレベル)を検討する。併せて、オゾンが農作物に及ぼすリスクについて、主に関東地方をモデル地域として広域的に評価し、地図化する事を目的とする。 2021年度は、埼玉と長崎の両地点において、オゾン濃度条件の変化可能な3連のオゾン暴露オープントップチャンバー(大OTC)もしくは小型オープントップチャンバー(小OTC)を用いて、コマツナとハツカダイコンを対象に、成長などに対するオゾン影響を調べた。 オゾン暴露実験は、埼玉では、大OTCを用い浄化空気区、外気オゾン区、外気オゾン濃度の1.5倍になるように添加した1.5オゾン区のオゾン3段階で約1か月間育成した。5月~10月上旬にかけて2作物をそれぞれ5回、長崎では小OTCを用い浄化空気区、外気オゾン区の2処理区で、3回実施した。 埼玉で実施したオゾン暴露試験では、オゾンによる有意な成長の低下は、コマツナでは5時期中3回の時期において認められ、ハツカダイコンの成長では2回の時期に認められた。一方、長崎で実施したオゾン暴露試験では、コマツナとコカブの両作物において、実施した3回の試験においても浄化空気区、外気オゾン区の間にオゾン暴露による有意な成長低下は認められなかったが、オゾンによる低下傾向は認められた。今後、更に同様なオゾン暴露試験を両地点で実施し、「オゾンに対する成長応答」と「様々なオゾン指標」、更に、生育時の気温などの気象要因との関係性について検討し、オゾン被害のリスク評価モデルを構築する予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オゾン暴露実験を、埼玉(埼玉県環境科学国際センター)と長崎(長崎大)で、昨年度と本年度の2か年実施した。必ずしもオゾン濃度の変動や気象の差異などによりオゾン影響が明瞭に認められない場合もあるが、引き続きオゾン暴露実験を繰り返すことによりデータの蓄積を図ることが可能であると考えられ、現時点では、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、更に同様なオゾン暴露試験を両地点で実施し、「作物のオゾンに対する成長などの応答」と「様々なオゾン指標(日平均オゾン濃度や様々なオゾンドース(AOT40、SUM06、W126など))」、更に、生育時の気温などの気象要因との関係性について検討し、オゾン被害のリスク評価モデルを構築する予定としている。 その後、確立したモデルと地理情報システムを用いて、過去~現状レベルのオゾンやオゾン濃度上昇が農作物に及ぼす悪影響についてのリスク評価等について、主に関東地方をモデル地域として広域的に評価したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
オゾン曝露実験、ならびにGISに係る経費として使用する。さらに、研究成果の投稿論文に係る経費として使用予定としている。
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