研究実績の概要 |
本研究は、「化学物資の生態影響試験のモデル生物であるオオミジンコを用いた密度効果および種間相互作用を考慮した簡便な室内試験方法を開発すること」を目的として研究を進めている。本年度は、亜鉛および直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(LAS)を対象化学物質として、密度効果を考慮した対象化学物質の生態影響を評価するために、オオミジンコ(Daphnia magna)を用いて、個体数密度に対する個体数増加率の反応への対象化学物質の影響を調査する生態影響試験を実施した。まず、生態試験試験における対象化学物質の曝露濃度およびオオミジンコの個体数密度の範囲を決定するための予備的な検討を実施した。その後、対象化学物質の曝露濃度と試験個体数の密度を変えた複数の処理区で生命表試験を実施した。これらの生態影響試験から、亜鉛またはLASの曝露濃度および試験個体数密度の増加とともに個体数増加率が減少する結果が得られた。また、種間競争を考慮した亜鉛およびLASの生態影響試験を行うための予備的な検討として、オオミジンコ以外のミジンコ8種(D. ambigua, D. galeata, D. pulex, D. similis, Ceriodaphnia dubia, C. reticulata, Moina micrura, M. macrocopa)について、亜鉛およびLASの曝露濃度および餌として使用するクロレラ(Chlorella vulgaris)の試験培地中の密度を変えて簡易な生命表試験を実施し、種間競争を考慮した亜鉛およびLASの生態影響試験に使用するためのミジンコ種の選定を行った。
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