研究課題/領域番号 |
20K12213
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
岩崎 雄一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (00748840)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 水質調査地点 / 水質環境基準 / 排水基準 / 集水面積 / 土地利用割合 / 水質 / 河川 / クラスター分析 |
研究実績の概要 |
水生生物の保全に係る水質環境基準の維持・達成を目的として,化学物質の排水規制を検討する上で,その実質的な保全効果は考慮されない。しかし,様々な人為的攪乱の影響を受ける河川において,特定の化学物質だけに着目した排水規制は,果たしてどの程度の水生生物の保全効果をもたらすのだろうか。本研究の目的は,全国の河川の約3000箇所の水質調査地点(環境基準点)を対象に,任意の化学物質の濃度が低減された際の水生生物の保全効果(回復のポテンシャル)をその物理化学的及び生物学的特徴から定性・定量的に明らかにすることである。 本年度は,まず,全国の河川における水質調査地点を整理し,本研究の対象とする約3000箇所の環境基準点を抽出した。次に,これらの水質調査地点の集水面積や集水域における土地利用割合(例:都市,森林など)を地理情報システムを用いて推定した。なお,この推定の際に,水質調査地点の経緯度情報を用いて,約3000箇所の水質調査地点が地理情報システム上で作成した適切な河川ライン上に位置しているかについても確認した。また,合わせて,3 km半径の土地利用割合,標高を推定し,複数の水質項目(pH, 生物化学的酸素要求量(BOD),全リン濃度,全窒素濃度,浮遊物質量)についても測定データを整備した。これらの物理化学的パラメータを用いて,階層クラスター分析により,水質調査地点を「標高が高く,集水域内における森林割合が高く,水質が良い地点群」などのグループ分けを行った。 また,東北の河川を対象に,河川水辺の国勢調査における底生動物調査が実施されていない水質調査地点を10箇所を選出し,底生動物調査を実施した。本調査結果は,次年度以降に構築する底生動物の平均スコア予測モデルの検証に用いる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった物理化学的特徴に基づく水質調査地点のグループ分けは概ね完了しており,集水面積の推定等における作業のダブルチェックを行い,さらに細かな確認を進めている段階である。一方で,次年度以降に構築する予測モデルを検証するための底生動物調査の一部を,すでに本年度実施できており,この点は,当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に沿って着実に進んでおり,次年度以降も計画通りに研究を進める。また,本年度得られた研究成果は,できる早く論文化し,公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請予算額より交付額が減少したため,予定していた高額のソフトウェア購入を断念したため,次年度使用額が生じた。次年度以降の野外調査費用及び人件費として使用する。
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