研究実績の概要 |
2021年7月から一年間、琵琶湖淀川水系について通年調査を実施し、琵琶湖3地点、河川水4地点、下水処理場放流水5地点、水道水2地点の計14地点で採水を行った。調査対象物質は、1,3-diphenylguanidine (DPG), 1,3-di-o-tolylguanidine (DTG), 1-(o-tolyl)biguanide (TBG), cyanoguanidine(CG), 1-(4-cyanophenyl)guanidine (CPG), N,N'''-1,6-hexanediylbis (N'-cyanoguanidine) (HCG), 1,2,3-triphenylguanidine (TPG) の7種のグアニジン類縁化合物である。分析は筆者らが開発した方法とした。DPGとCGについて水道水を除いた検出率は100%であり、DPG, CGの水環境中における広範囲な存在が示唆された。DTGとTBGは主に河川水と下水放流水から検出され、HCGは下水放流水からのみ検出された。TBG及びHCGは、我々の知る限り水環境中からの初めて検出例である。 我々の調査対象物質である残留移動性有機化合物 (PMOCs) は、一旦水環境中に流入するとその親水性から浄水処理で除去されにくいとされているが、その実態は不明である。そこで、グアニジン類縁化合物の高度浄水処理における挙動を調査した。DPG, DTG, TBG, HCG, TPGについては、原水から0.07~18 ng L-1の範囲で検出されたが、オゾン処理後の除去率は79~100%、GAC (粒状活性炭) 処理後及び浄水の除去率は99~100%であり、これらは高度浄水処理で除去可能であった。一方、CGについては浄水のCG除去率はマイナス値を示し、先述の5種とは異なる挙動を示した。
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