研究実績の概要 |
2021年度は昨年度に引き続きCuと第2遷移金属元素(Y, Zr, Mo, Rh, Pd, Ag)を組み合わせた2元系触媒の合成を行い、3,4-ジクロロフェノールの水熱酸化分解に対する触媒作用の評価を行った。含侵法で活性アルミナ上に各種2元系触媒を担持し、フロー式反応器内に触媒を固定して200℃、10 MPaの条件下で反応させたところ、Cu-MoおよびCu-Rhが高い触媒作用をもつことを明らかにした。XPSによる触媒の分析の結果、これらの2元系触媒では表面に露出しているCu元素の割合が高く、これが触媒作用が向上した要因の一つだと考えられる。また、触媒元素の酸化数の変化から、2元素間の相互作用によりCuカチオンの2価から1価への還元が促進されていることが明らかとなった。これによりCuイオンによるフェントン型反応が加速され、3,4-ジクロロフェノールの分解率が向上したと思われる。一方でCu-Pdは極めて低く、酸化剤である過酸化水素を消費する副反応が起きていることが原因であると考えらえれた。 次に触媒を固定する担体を多孔質チタニアに変更して同様の実験を行ったところ、Cu-MoとCu-Rhのどちらの2元系触媒においても触媒作用の低下がみられた。また、XPSの分析結果から表面に露出している遷移金属元素の濃度が低下していることが示唆された。以上のことから、担体表面における触媒金属のミクロ構造が触媒作用に大きな影響を与えていると結論付けた。
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